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October 31, 2011

内田先生、連続講義

 TPP問題で日本中が揺れようとしている中、政府、マスコミは何としても参加の方向に持っていきたくて押さえつけている様子が見え見えですが、どうもやっぱりTPPは幕末の日米修好通商条約と同じ、不平等条約らしいということがわかってきました。

 私の閲覧する各ブログやサイトもその批判で渦巻いています。

 いちいち紹介するのも面倒だし、多くの方がご覧になっているでしょうからしませんが、内田樹先生は最近お時間があるのか、ブログで世情に関して立て続けに面白い見解を述べているので、覚えも兼ねてここにリンクします。

 これら以外にも最近の記事はみんな秀逸です。

 雇用と競争について

 国民経済(みんなを食わせること)を考えることが最も大事である、ということについて。

 グローバリストを信じるな

 アメリカの危機の本質、TPPを推進する人たちの「心のうち」を見透かしておもしろいです。

TPPについて私が申し上げたいことはわりと簡単である。
「生産性の低い産業セクターは淘汰されて当然」とか「選択と集中」とか「国際競争力のある分野が牽引し」とか「結果的に雇用が創出され」とか「内向きだからダメなんだ」とか言っている人間は信用しない方がいい、ということである。
そういうことを言うやつらが、日本経済が崩壊するときにはまっさきに逃げ出すからである。
彼らは自分のことを「国際競争に勝ち抜ける」「生産性の高い人間」だと思っているので、「いいから、オレに金と権力と情報を集めろ。オレが勝ち残って、お前らの雇用を何とかしてやるから」と言っているわけである。
だが用心した方がいい。こういう手合いは成功しても、手にした財貨を誰にも分配しないし、失敗したら、後始末を全部「日本列島から出られない人々」に押しつけて、さっさと外国に逃げ出すに決まっているからである
「だから『内向きはダメだ』って前から言ってただろ。オレなんかワイキキとバリに別荘あるし、ハノイとジャカルタに工場もってっから、こういうときに強いわけよ。バカだよ、お前ら。日本列島なんかにしがみつきやがってよ」。
そういうことをいずれ言いそうなやつ(見ればわかると思うけどね)は信用しない方が良いです。
私からの心を込めたご提言である。

 相撲について

 相撲の本質と、改革のための驚くべき提案「株式会社化」。

 これを読むと、マスコミに出てくる相撲に詳しいとされる評論家、芸能人たちがいかに浅薄かわかろうというものです。

今の相撲協会に問題があるとすれば、この「なんだかよくわからない」性を守るための理論武装ができていないことです。
相撲とは何かを一義的に定義すること自体、「相撲」となじみが悪いんです。だから、そのことを呑み込んだ上で、相撲に携わる人は先行世代から何を受け継ぎ、次世代に何を受け渡そうとしているのかを、きちんと考え、言葉にする必要があると思います。  
協会を合理的な組織に改造して透明性を高め、より競争原理が働く仕組みを取り入れても、相撲の本質が「なんだかよくわからないもの」である以上たぶんうまくはゆかないでしょう。
組織はクリアーになり、ルールはフェアになったけれど、一般の「相撲離れ」が進んで、やがて誰も見なくなったというのでは「相撲改革」なんか「しないほうがよかった」ということになりかねません。
それよりも、見習うべきは歌舞伎です。  
伝統芸能としての歌舞伎が存続できたのは、松竹という一民間会社が、梨園を一般社会と切り離して運営してきたからです。
問題なのは芸の質であり、一般社会の常識が通用するかどうかは、関係ありません。  
相撲協会も、公益法人認定なんてやめて、すっきり株式会社化すればいい。
そして、自分たちが「やりたい」と思う相撲を、思う存分やればいい。私はそう思います。
そもそも、相撲を「国技」というのもよろしくない。
相撲は国家の後にできたものじゃない。むしろ、国家を基礎づけたものです。
国家が国家になるために「使えるものは全部使って」つくりあげた「前-国家的」な制度です。
そのようなものは国家制度の側から見たら「いかがわしいもの」に映る。
当然です。
相撲は発生的に「公的な認知」にはなじまない。
朝廷や豪族や大名や貴族が「相撲を私有化」しようとしたことはわかります。「国家を基礎づけた機能」を所有したいと思うのは当然です。
でも、相撲の方から、国家にすり寄ることはない。
本来はそのような制度の編み目ではとらえられないものなんです。
だから、公益の財団法人を目指すことが、そもそもボタンの掛け違いなんじゃないでしょうか。
相撲はわれわれの社会に深く根を下ろしすぎていて、その公益性を示す根拠を行政の用語では言語化できない。
協会を株式会社化して、誰にも気兼ねせず、採算が合う限り、やりたいようにやってもらったほうが、たぶん面白い相撲が見られると私は思います。

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