« AS IFの本質 | Main | 中沢新一、深沢七郎を語る »

October 20, 2011

深沢七郎:奇跡の文学

 深沢七郎という作家を知っているでしょうか。「楢山節考」で名をはせた、戦後で最も特異な作家といってもいいでしょう。

「楢山節考」は、あの三島由紀夫に「総身に水を浴びたような」という強烈な印象を感じさせ、「気味が悪い」と言いながらも、三島は生涯に渡ってどこか深沢七郎を意識していた、せざるを得なかった風だったそうです。また辛口の批評家の正宗白鳥に「人生永遠の書」と言わしめたことも有名です。

 元々ストリップの日劇ミュージックホールでギタリストをしていて(相当な腕前でギターの教則本も出している)、作家としての出自も変わっています。

 いわゆる文壇にも入らず、そのユニークな言動や行動のために当時の若者が集まり、「親方」と慕われたそうです。直接深沢七郎のところに出入りし影響を受けたのは、赤瀬川源平、嵐山光三郎、篠原勝之、南伸坊など、煮ても焼いても食えないような強烈な個性の作家、文化人ばかりです。

 その深沢七郎は甲州は山梨県石和(現笛吹市)の出身、私の実家の隣町です。すぐ側といっていい。血縁関係はないけど姓も私と同じなので、何となく親近感は若いころから抱いていました。きっとルーツは同じかもしれない。

 しかしその親近感は、あこがれとかモデルというのとはちょっと違う気がします。
 私自身にとっても深沢の作品世界はかなり異質です。
 だけど根っこのところで、自分の持っている感覚をそのまま出しているような、「ああ、こういう世界はあるな」「なんか否定したい気持ちもあるけど、確かにあるな」「よくここまでポンと表現できるな」という畏怖というか、凄みを感じる存在でした。

 戦後の高度経済成長に育った自分では絶対に表せないけれど、何か懐かしいような、深いところを表しているような気がしたものです。

 高校生の時に接して以来、気になった時に折々に作品を読んできましたが、その意味で、私に最も影響を与えた作家は深沢七郎といってもいいと思います。

 同じ思いを人類学者・中沢新一さん(山梨県山梨市出身)も抱いていたようで、「最も人格形成に影響を与えた作家」と常々おっしゃっています。

 現在山梨県立文学館「深沢七郎展」が開催されています。
 その特別講演会で、中沢新一さんが来て話をするというので聞きに行ってきました。

 私にとってもとても面白かったので、次回その内容をレポートします。

|

« AS IFの本質 | Main | 中沢新一、深沢七郎を語る »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 深沢七郎:奇跡の文学:

« AS IFの本質 | Main | 中沢新一、深沢七郎を語る »