深沢七郎:奇跡の文学
深沢七郎という作家を知っているでしょうか。「楢山節考」で名をはせた、戦後で最も特異な作家といってもいいでしょう。
「楢山節考」は、あの三島由紀夫に「総身に水を浴びたような」という強烈な印象を感じさせ、「気味が悪い」と言いながらも、三島は生涯に渡ってどこか深沢七郎を意識していた、せざるを得なかった風だったそうです。また辛口の批評家の正宗白鳥に「人生永遠の書」と言わしめたことも有名です。
元々ストリップの日劇ミュージックホールでギタリストをしていて(相当な腕前でギターの教則本も出している)、作家としての出自も変わっています。
いわゆる文壇にも入らず、そのユニークな言動や行動のために当時の若者が集まり、「親方」と慕われたそうです。直接深沢七郎のところに出入りし影響を受けたのは、赤瀬川源平、嵐山光三郎、篠原勝之、南伸坊など、煮ても焼いても食えないような強烈な個性の作家、文化人ばかりです。
その深沢七郎は甲州は山梨県石和(現笛吹市)の出身、私の実家の隣町です。すぐ側といっていい。血縁関係はないけど姓も私と同じなので、何となく親近感は若いころから抱いていました。きっとルーツは同じかもしれない。
しかしその親近感は、あこがれとかモデルというのとはちょっと違う気がします。
私自身にとっても深沢の作品世界はかなり異質です。
だけど根っこのところで、自分の持っている感覚をそのまま出しているような、「ああ、こういう世界はあるな」「なんか否定したい気持ちもあるけど、確かにあるな」「よくここまでポンと表現できるな」という畏怖というか、凄みを感じる存在でした。
戦後の高度経済成長に育った自分では絶対に表せないけれど、何か懐かしいような、深いところを表しているような気がしたものです。
高校生の時に接して以来、気になった時に折々に作品を読んできましたが、その意味で、私に最も影響を与えた作家は深沢七郎といってもいいと思います。
同じ思いを人類学者・中沢新一さん(山梨県山梨市出身)も抱いていたようで、「最も人格形成に影響を与えた作家」と常々おっしゃっています。
現在山梨県立文学館で「深沢七郎展」が開催されています。
その特別講演会で、中沢新一さんが来て話をするというので聞きに行ってきました。
私にとってもとても面白かったので、次回その内容をレポートします。
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