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January 06, 2012

「動きが心をつくる-身体心理学への招待」

 身体心理学…まさに本ブログなどで私が追及してきた発想といってもいいかもしれません。

 基礎系・実験心理学を長年積み重ねた心理学者が、身体と心の関係に現代心理学の到達点から切り込んだ格好の入門書です。
 その点で、極めて「まとも」な心理学の本であり、現在の心理学でもここまで言えるんだと学ぶことができます。

 現代の流れは、知識中心、知に偏った心を重視する傾向がある。言葉を変えると中枢である脳が重要であり、脳のことがわかれば、心の問題はすべて解決するとの信念すら生まれつつあると感じられる。

 本書では、この潮流に抵抗を試みたい。まず人間は脳(中枢)のみで存在するとは考えない。末梢もなければならないという当たり前の考えに立ち戻るのである。言い換えれば、人間を心のみの存在とは考えない。身体があって心が成り立つと考える。しかもその身体とは、従来から無視されてきた身体の動き(行動)に焦点を当てるのである。なぜならば、心は身体の動きから生まれてきたと考えるからである。

 そのようにして生まれた心の原初的なありようは、身体の動きから生じる感覚である。そしてその感覚は同時に心の根底を支えている気分や感情となる。これらの間の関係は、本書で徐々に明らかにしていきたい。p6

 著者の春木豊先生は、早稲田大学名誉教授、行動科学系心理学の泰斗であり、実は私も同大学の心理学専修だったので、もちろんお名前は存じ上げていましたし、雲の上のような方でした。
 ただ当時(80年代半ば)、すでに私は合気道や中国武術、トランスパーソナル心理学やユング心理学、神秘学など「変なこと」に惹かれて学外で勝手に学んでいたので、春木先生みたいな本当に「まとも」な心理学者には相手にしてもらえないと思い込んでいたので、とても話が合うとは思えず、敢えてお近づきになろうとはしませんでした。

 だから先生が本書で取り上げるようなボディーワークや瞑想、呼吸法に深い関心を持っており、特に気功法や太極拳を熱心に学ばれていたことを知った時は、「えーっ、春木先生ってそういう人だったの?」と本当に驚きました。

 しかしそれもそのはず、先生は私が卒業してしばらくしてから、「方向転換」したらしいのです。
 実は春木先生は既に学生の頃に禅に関心を持ったそうですが、「ちゃんと心理学の研究をしてから」と恩師に言われた教えを守り続け、長年封印していた思いを研究者人生の晩年になってやっと解き放って、身体心理学の確立に向けた研究にまい進し始めたらしい。

 本当の学者とはそういうものかもしれないね。

 もし私があと数年若く早大にいたら、絶対に春木門下に入っていたかもしれません。

 その辺の先生の研究者人生のいきさつは、本書だけでなく、実は春木ゼミ出身者が私の職場の同僚にいたので、裏話的にうかがうことができましたが、先生から学ぶ機会がなないまま年月が経って、なんだか残念な思いがしています。

 とまあ、個人的な思いばかり書いてしまいましたが、本書の内容は次回以降に取り上げさせていただきます。

 

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