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January 09, 2012

レスペラント反応

 心理学のイロハに動物や人間の行動を2種類に分けるというのがあります。
 レスポンデント反応とオペラント反応です。

 レスポンデント反応とは刺激に対して生理的、反射的な反応で、いわゆる「パブロフの犬」の条件反射です。餌を見ると涎が出る、餌と一緒にブザーを鳴らすとブザーが鳴ると涎が出るようになるというやつです。内臓系の反応ともいえます。

 オペラント反応は行動する主体が環境に働きかける反応で、「意志的反応」ということができます。スキナーボックスの鳩やサルが餌を求めてレバーやスイッチを押す反応がそれです。筋骨格系の反応ということができます。

 しかし、前記事の「動きが心をつくる」(講談社現代新書)で春木豊先生は、実際はこの二つだけでは単純すぎるともう一つの概念を提案します。
 呼吸や表情のような反射的(レスポンデント)でもあり、意図的な反応(オペラント)のできるものがあることに気づく必要があるのではないかと考え、そのようは反応をレスペラント反応と名づけようというのです。
 レスペラント(resperant)とはレスポンデント(respondent)とオペラント(operant)を合わせた造語です。

 レスペラント反応(反射/意志的反応)は、もともとレスポンデント反応であるが、一方でオペラント反応もできるという、両方の性質を持った反応であるということである。この両方の反応は別々に反応することもあるが、両者が混在して反応するということもある。p72

 呼吸反応はもともと反射(レスポンデント反応)である。睡眠中は反射で対応している。一方、ラジオ体操をやって深呼吸をするときは、明らかに意図的、意志的な反応(オペラント反応)になる。このように呼吸は、明らかに異なる二つの反応ができる。ちなみに心拍反応はこのようなことはできない。p72

 レスペラント反応は、いわば体(レスポンデント反応)と心(オペラント反応)の両方にまたがった反応であるために、体と心に影響を及ぼすことができるという重要な反応群であるといえるだろう。p73

 レスポンデント反応には、呼吸のほか、筋反応、表情、発声、姿勢、歩行、対人距離、対人接触反応が挙げられています。

 これらはみな、自動的な反射でありながら、必要な時や状況によっては意識的にコントロールできるものです。逆に意識的になることによって反射を変えていくことも可能です。
 嫌なことに出会うと反射的に気分が悪化して呼吸が浅くなりますが、呼吸法をすることでリラックスして気分を楽にすることができます。

 レスペラント反応は心と体の結節点になる現象にきちんと名づけようということなのでしょう。
 この提案に対してほかの心理学者がどう評価しているのか知りませんが、私には単純な発想なようでいて、心身二元論的思考から抜け出す一つの起点になるような気がします。

 ちなみに、武術で扱う「心」とは先ず、ほとんどがこのレスペラント反応のことでしょう。攻撃を受けた時に反射的に緊張したらダメなので、意志的に筋肉の力を抜いたり動きのコントロールができるように修練するからです。

 太極拳の推手(すいしゅ)とか合気道の合気上げとかがまさにその練習法だと思いました。

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