筋トーヌス
前々記事の体幹トレーニング体験で、日本コアコンディショニング協会会長の岩崎由純先生のお話の中で印象に残っているものを憶えに記します。
いくら筋トレで筋肉を鍛えても、実際には筋力をきちんと十分に発揮できない選手は多い。また、筋肉が盛り上がるようにあっても姿勢の悪い人、バランスの悪い人も多い。そういう人は力が出ない。大事になのは筋出力と筋緊張(筋トーヌス)を区別すること。
筋出力とは筋肉そのものが発生する力。
筋トーヌスとは、あらゆる運動を行うためにある程度筋肉を収縮させた準備状態。全ての筋肉に筋トーヌスは存在するが、姿勢筋の筋緊張のことを特に姿勢筋緊張という。
したがって姿勢の改善には筋トーヌスを上げることが重要である。姿勢筋筋緊張は、橋網様体脊髄路、中脳(網様体)の影響が大きい。無意識的過程に関わる回路である。
姿勢を良くするには筋トーヌスを上げ姿勢反応を良くすること、本来の経路(橋網様体)を多用すること、運動の中で無意識に働くようにすること、体全体の協調、コーディネーションが必要である。
では筋トーヌスを上げるためにはどうしたらよいかというと、コアトレーニングの各タスクということになるが、肝心なのは、脳というのは目的に反応するものであり、目的呈示によって全ての運動系脊髄路が協調を始めるのであり、それから学習したことを無意識に落とすことである。
このようなお話を聞いて改めて気づいたのは、立禅のようにじっと立ったり、太極拳などのゆっくり動いくバランス系のトレーニングはまさにコアコンディショニングを武術的動作の中でやっているということです。丁寧に動くことで、技を無意識に落とし込んでいるといえます。
多分筋トーヌスを上げるために大事なのは、筋肉を普通の人や並みの選手のように固めることではなく(それを筋緊張=筋出力と思ってしまっている)、限りなく力を抜いてなおかつその姿勢を維持できている状態ではないかと思います。先生もそのように言っていたように思います。
そうすることで、実際の戦いの場面で無理なく効率よく筋出力が出せると思われます。
また、脳は目的に反応するというのも「目的論」のアドラー心理学的見解と一致します。
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