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September 20, 2012

縄張り争い

 領土争いは生物としての本能を呼び覚まされるからか、熱くなると大変だというのが今回の尖閣問題の率直な感想。特に私たち日本人は慣れてないからね。ところで「1000隻の漁船」とは何だったのだろうか?

 とりあえず騒乱的状況から収束に向かっている今からは、どっちが勝ったか、お互いの功名争いになって、ネットで散見しても、まるでロールシャッハ・テストみたいに反中派を中心に言いたいことを言う状況になるでしょう。

 大きな枠組みで今回の件を眺めると、さすがに内田樹先生と副島隆彦先生が優れていると思い、今回も支持します。先ず、戦わない、乗せられない、が肝要だと思います。

 内田先生。http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=268685

竹島と尖閣で領土をめぐる問題が緊迫化している、領土問題を論じる場合につねに念頭に置いておくべきだが、新聞があまり書いてくれないことが二つある。それを備忘のためにここに記しておきたい。

 第一は領土問題の解決方法は二つしかないということである。一つは戦争。もう一つは外交交渉。双方が同程度の不満を持って終わる「五分五分の痛み分け」である。
 どんな領土問題にもそれ以外の解はない。ただし、両国の統治者がともに政権基盤が安定しており、高い国民的な人気に支えられている場合にしか外交交渉は行われない。(途中略)

 韓国の李明博大統領は支持率20%台に低迷していたが、竹島上陸で最大5ポイントを稼いだ。政権浮揚のためには理由のある選択だったのだろうが、その代償に大統領は外交交渉カードを放棄した。本当に力のある政治家はこんなことはしない。
 尖閣にしても同様である。中国政府が今強い出方をしているのは内政に不安があるからである。(途中略)

 第二も新聞が書きたがらないことなので、ここに大書しておく。それは日本の場合、領土問題は2カ国問題ではなく、米国を含めた3ヶ国問題だということである。
 
 米国は竹島、尖閣、北方領土のすべての「見えない当事者」である。これらの領土問題について、問題が解決しないで、日本が隣国と軍事的衝突に程度の相互不信と対立のうちにあることによって自国の国益が最大化するように米国の西太平洋戦略は設計されている。

 もし領土問題が円満解決し、日中韓台の相互理解・相互依存関係が深まると、米国抜きの「東アジア共同体」構想が現実味を帯びてくる。それは米西戦争以来120年にわたる米国の西太平洋戦略の終焉を意味している。米国は全力でそれを阻止しなければならない。(以下引用略)

 続いて副島隆彦先生 http://www.snsi.jp/bbs/page/1/ 

1.私が、尖閣諸島問題については、自分の本、数冊ですでに細かく書いている。それらの文を 近く、このサイトに転載する。 私は言論人として日本国内で孤立しているので、私の発言は、無力である。しかし、今の日本国内は、どんな大きな勢力、団体も、無力であるから、誰が何を言っても構わない、自由だ、許される、という状態になっている。それで、私も自由に書く。

2.尖閣諸島を巡る領土・領海紛争が存在する、ことが、これではっきりした。日本政府は、尖閣諸島を日本が、実効支配(デファクト・コントロール)している、かつ歴史的に日本の領土であるから、「領土問題は存在しない」という態度だった。もう、そういう訳(わけ)にはゆかない。中国の言い分も聞いて、2国間の領土問題として、今後は、協議するしかない。

3.両国の話し合いをすぐに持つべきだ。日本側には、二階俊博(にかいとしひろ。自民党)と、細野豪志(民主党)という、中国側(の 北京派とも 上海閥の両方)と太いパイプを持つ人材がいる。急いで両者を派遣するべきである。

4.周恩来、鄧小平の時代から、「あの島のことで、両国が争う必要はない」ということで、日中国交回復(田中角栄 と大平正芳が1972年にやった。調印は、福田赳夫政権のとき。したがって、弱い人だが立派な政治家である福田康夫も太い人脈を持つ) の時から、「棚上げ」して、穏やかに、この地域を両国で管理してきた。急いで、その状態まで、戻さなければいけない。すなわち、再度の話し合いによる、共同管理、共同開発への道を目指すべきだ。

5.野田政権は、急いで、尖閣諸島の政府による 20億円での地権者からの買い取り、という愚策を撤回して、元の状態に戻すべきだ。中国政府が、「話し合いで解決したい」と言っているのだから、それに応じなければいけない。それが、大人の態度というものだ。

6.この尖閣問題に、火をつけたのは、この4月からの石原慎太郎である。石原都知事が、責任を取るべきだ。「中国船なんか、追い払えばいいんだ」と今も、言えるものなら、記者会見で言ってみるがいい。これだけの騒ぎになった。もう中国を甘く見たり、軽く考えることはできない。自分で火を付けておいて、大事件になったら石原慎太郎は表に出てこない。この男は、いざとなったら臆病者なのだ。

7.2009年9月7日に、尖閣諸島沖で操業中の中国漁船を海上保安庁が拿捕する、という事件を意図的に起こさせたのは、当時の前原誠司・外務大臣である。リチャード・アーミテージとマイケル・グリーン(ふたりの親分は、ヒラリー・クリントン)の差金(さしがね)に乗ったのである。この時から今の尖閣問題になった。

 だから前原誠司の責任が一番、大きい。釈明すべきである。それぞれの国の漁船は、それぞれの国の海上警察が取り締まる、という日中の合意事項を、日本側が勝手に破ったのである。非は日本にある。このことの謝罪を日本政府はするべきである。

8.日本国民の一部が、「中国との戦争にならなければいいが」と心配し始めている。この不安を急いで取り除かねばならない。私、副島隆彦は、ずっと 「アジア人どうし戦わず」を主張してきた。どんなに激しい議論をしてもいいが、戦争だけは避けなければいけない。

9.経団連(けいだんれん)を筆頭とする日本の経済界が、即座に反応して、日本政府に善処を求めている。中国で大きな工場をたくさん経営して、中国市場で製品を売りあげて利益を出している。単純な頭で、「中国の方が悪い。尖閣諸島に自衛隊を上陸させて、中国が攻めてきたら、戦えばいいのだ」と言うような、愚かな右翼たちの言論に、私たちは引きづられてはならない。彼らは、いざとなると自衛隊が出動すればいい、という。

 そういう事態になったら、本当に日本が苦境に陥ることを、真剣に考えるような人たちではない。私たちは、「領土問題で戦争も辞さない」という愚かな、右翼言論に扇動されてはならない。

10.私は、この6年間に、すでに4冊の中国研究本を書いている。この中でたいていの細かい中国分析はやっている。それらの一部をそのうちここに転載します。中国は、西太平洋(にしたいへいよう。グアム諸島 から西。ウエスト・パック West Pacific )の自由な通行権を、アメリカに対して要求している。 

 「中国としては、西太平洋の管理を中国に任せて欲しい」と言った。それに対して、アメリカは、即座に、「冗談はよしてくれ」と断った。 それでも、まだ今も世界覇権国アメリカと中国の、この海域全体の支配権を巡る、大きな交渉ごとの一部として、尖閣問題もあるのである。

11.中国としては、西太平洋の公海(こうかい。オープン・シー)を中国の漁船と、商船と、軍艦が自由に航行出来ればいい、という国家戦略で動いている。

 このことは、私と中国言論人の石平(せきへい)氏との最近刊の対談本『中国 崩壊か繁栄か!?』(李白社、2012年6月刊)で、石平氏も言っている。 たとえ 領海(陸から12海里、22キロ)内であっても外国の船にも無害通行権(むがいつうこうけん)がある。それが国際海洋条約の基本の考えだ。

 だから、中国としては、尖閣や沖縄に上陸して、無理やり戦争をして自分のものにする、という野蛮な考えはない。それを、愚かな日本右翼たちが勘違いしている。

12.中国で激しい反日デモをしている者たちの多くは、日本の右翼たちと同じような、中国国内の右翼たちである。この構造を私たちは理解すべきだ。どこの国も国内は同じ考えでは動かない。

 私は、この9月4日に、訪中したヒラリー・クリントン国務長官に、習近平(しゅうきんぺい)国家副主席が会わなかったのは、中国側の深慮遠謀であり、アメリカの手、すなわち、アラブ中東が手詰まりになってきたので、今度は、東アジア(極東)を、軍事的に騒がしくして、不安を煽って、アメリカ製の兵器の購入を、各国に促進したい、という作戦で動いていることを知っている。

 だから、習近平は、「私は、相手とするのは、ジョゼフ・バイデン副大統領(副島隆彦注記。来年の早い時期にオバマが病気で倒れて、彼が米大統領になるだろう)である」として、ヒラリーを柔らかく追い返した。

13.垂直離着陸式の大型輸送機の「オスプレイ」の配備も、日本や、韓国に、この欠陥飛行機を買わせようとして、それで、東アジアの国境紛争という波風を意図的にアメリアが立てている。

 その手に乗ってはならない。オスプレイが危険な欠陥輸送機であることがはっきりしたのだから、レオン・パネッタ国防長官が、自分で、焦ってセールスにきたとしても、日本は購入を見合わせるべきである。

14.韓国との竹島(たけしま)問題では、急いで、日本から特使を送って、韓国の竹島の領有を認める交渉をするべきだ。そして、その海域の両国での共同管理と、共同開発の譲歩を韓国から引き出すべきである。 「欲しいのでしたら、どうぞ、差し上げます」と言ってあげる、上品な人間に、私たちはなるべきなのだ。相手を見下して、「竹島問題を、ハーグの国際司法裁判所に提訴する」と野田政権は言った。

 そして韓国に相手にされなかった。同じ事を、中国が「共同で提訴したい」言ってきたら、日本はどうするのか。「尖閣諸島では領土問題はそもそも存在しませんのでお断りします」と言うのか。それでは二枚舌になる。

15.「話し合いで解決などあり得ない」と考える、単細胞の人間たちでも、どうせしばらくしたら、シュンとなって、「話し合いで解決するしか無いんだ」となる。それがまともな大人の考えだ。

 自分自身では、100坪、200坪の家、土地の私有財産も持っていないのに、遠く離れた島のことで、「オレのものだ。絶対に渡さない」などど、ナショナリズムに酔った振りをして、自分勝手なことを喚(わめ)く愚かな人間に、私たちはなってはいけない。

16,日本の政局(せいきょく。内閣解散、総選挙のこと)は、来年の春までなくなったようだ。赤字国債(特例公債)の発行限度の増額の法案を通さなければいけないからだ。来年の総選挙で、自民党の総裁になっている石破茂が、得票で第一党になって(過半数は無理)首相になるだろう。

 石破は、あんなにタカ派ぶっている(ついに、集団的自衛権=アメリカとの共同軍事行動のこと まで一昨日、認めた)が、中国とのパイプも持っている政治家だ。中国としても、石破に期待している。私は、中国とアメリカからの高度の秘密情報で、すでに昨年の自分の本で、「次の日本の首相は石破茂だ」と書いている。

 ただし、石破が1年間か2年首相をやったら、それで、自民党という政党は消滅する。戦後68年間のいろいろの責任を、あれこれ言われ続けるよりも消してしまったほうがいいからだ。

17,中国政府は、以下の様な政府の態度表明をしている。それに対して、野田政権は、はっきりとした態度表明をしていない。ぼそぼそと何やら言っているだけだ。どうして、従来のように、「毅然とした態度で望む」と言えないのだ。総じて日本人は、びくついている。今度の事件に火をつけた石原慎太郎・都知事支援の右翼たちも何だか、声のトーンが落ちている。居丈高に何かを 叫ぶ、という感じが見られない。

 

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