型は理論
先日太極拳の本部道場で、台湾の宗家の老師による応用技の伝授会に参加してきました。
秘密なのだからもちろん、ここで一切言うことはできないのですが、いつもながら
「この型はこんな使い方があるんだ」「こんな風に動けばいいのか」
と驚きと感心することしきりでした。先人はよく考えたものだと思います。
うちの流派では型は極めて厳格、厳密なのですが、面白いと思うのはそれがけして窮屈ではなく、できるようになればなるほど、より楽に、自由に体や動きがなるように感じられるところです。
「この型にはこの技」と一対一対応みたいになっているわけではなく(一応標準的な用法はあるが、それだけだと縛られて窮屈になる)、一つの型が具体的に様々な変化を生み出せるようになっているところです。
それは言葉では伝えにくく、直接習わないと分からないところではあるけれど、分かると簡単に腑に落ちます。
そして「こんな風に考えればいいのだ」と自由な気持ちさえします。
「武術の型は実戦のひな型ではなく、理論である」と古武術家の黒田鉄山先生が言っていたそうですが、確かに実戦の中から抽出されてきた動きの理論であり、より自由になるための発想法であることを実感しました。
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Comments
すごく納得のいく事実だと思います。
卓球の話で恐縮ですが、卓球にも、進歩するためにどうしても欠かすことのできない打球フォームがあります。
フットワークやサービスも含めて、多種多様な打球の目的に応じた「多種多様な基本的フォーム」があります。
もちろん、必要なフォームを全部マスターしただけでは、実際の試合で勝ち進むことはできませんが、フォームの体得には多大なメリットと効用があります。
まず、1球1球が大きく、また微妙に異なる多様な球種に対しての「セーフ率の高い柔軟な打球」を可能にします。
また、打球ミスをした場合にも、原因分析が瞬時に可能です。フォームをベースにして考えることができるからです。
そして、基本的フォームに順じてこそ「有効度の高い技」を入れた打球が可能になります。つまり、打球の狙い・目的・意図を持って、最適の技術を1球・1球選択する事が可能になります。
卓球は武芸・武術によく似ていると感じております。
Posted by: 行動 | October 25, 2012 12:57 AM
行動さん
型の意義はそういうところにあるのでしょうね。
カウンセリングでもちゃんと型を習った方がやっぱり上達は早いようです。
アドラー心理学はその点、型がはっきりしているので、やはり達者な人が輩出するのでしょうね。
Posted by: アド仙人 | October 25, 2012 08:43 PM