呼吸法の効用
ストレス・マネージメントのお話をするときに呼吸法をよく教えるのですが、最近「児童心理 2010年12月号 特集・子どものストレス・コーピング」(金子書房)にある藤原忠雄先生(兵庫教育大学大学院准教授)の「リラクセーション」に、呼吸法の生理学的意義と心理学的意義について簡潔にまとめてくれているのを見つけたので、メモとして引用します。
参考にしたいと思います。
①呼吸法の効用
生理的効果としては次のようなことが挙げられる。
一回の呼吸で出し入れする空気量(一回換気量)は、胸式呼吸では約0.4リットルであり、腹式呼吸では約2.9リットルである。すなわち、腹式呼吸では胸式呼吸の約7倍の換気量となる。また、血液の流れは、重力の関係で肺の下の方が活発で、肺の頂点で1分間に約0.1リットル、中程で約0.7リットル、底の方では約1・3リットルである。つまり下部三分の一だけで上部三分の二の二倍近い血液量がある。そのため、腹式呼吸は呼吸数を減少させ、かつ肺の最も効率のよい部分を使って、たっぷりと酸素を取り入れることができる。したがって、肺と心臓の負担が軽減し、血圧も高くならない。さらに腹式呼吸による横隔膜の上下運動が、穏やかに絶え間なく内部器官をマッサージする。横隔膜が下がると器官およびその血液が圧縮され血液が心臓に送り戻され、横隔膜が上がると動脈から酸素をもらった血液が効率よく流れ込む。このように、循環組織全体の働きを高める。それに加え、肝臓をマッサージし胆汁を早く分泌させて解毒作用を促進させるなど、身体内部組織の機能も高める。
心理的効果としては次のようなことが挙げられる。
呼吸法により心身がリラックスした状態になると、余裕をもって自己をコントロールできるようになる。したがって、いろいろな刺激、ストレス、課題に過剰反応しないで対処できるようになる(ストレス耐性の向上)。また、呼吸に受動的な注意を集中することにより、心身への気付きがが高まり、内省力、自己向上性が増大する。さらに、創造性や問題解決能力も高まる。 p64
同論文には最も簡便な「10秒呼吸法」が紹介されています。私も中学生に教えたことがあります。
クライエントレベルの人にはそのように簡単なやり方がいいでしょうけど、もっと深めて効果を増大させるには、やはり太極拳やヨガなどの身体行法がお勧めです。最近はロング・ブレスなんていうのもあるみたいだけど、要点は同じでしょう。
やっぱり呼吸だけを続けるのは退屈なところがあるからです。体の動作や姿勢が伴っていた方がやりやすいし、効果も高いと思います。
深呼吸だけをただ20分続けるのはつらいですが、太極拳を20分するのは難しくありません。その間ゆったりとした動きとともに自然に深呼吸を続けていることになるので、呼吸法を意識する必要がないからです。
よくできたものだと思います。
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