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February 28, 2013

「荒天の武学」

 各方面で話題になっているようですが、この二人であれば当然と思います。

 内田樹・光岡英稔著「荒天の武学」(集英社新書)

 合気道家と中国武術家の稀有な対談で、武術的身体論を通した実にディープな言説が展開されています。
 これを読まずして「武」の本質は語れないだろうというほどの水準であり、しかし武術というのは身体を使った具体的現象でもあるので、語られるのは思想的で抽象的な言葉ばかりではなく、「実戦談」や武術家・格闘家たちのエピソードも多く、リアリティーがあって、実に興味深い話ばかりです。

 武術界のマニアックな知識、武術論、実戦論、哲学、教育論などいろいろな切り口から楽しめます。

 実は私は光岡氏とは氏の講習会で一度だけお会いしたことがあります。韓氏意拳とはどんなものか好奇心があって、長野まで行って参加してみたのです。

 その内容は実に地味で、光岡氏に手を取ってもらって動きを確認しながら、伸びやかに動いていくもので、型というよりワークという感じで、実に興味深いものでした。その時の感覚はその後の自分の動きの参照点になったくらいで、今思い出しても印象深いです。

 そして光岡氏を拝見して、甲野善紀氏や内田氏が讃嘆する通り、若いけど心身の密度が濃いという印象で、語る言葉はシンプルで説得力があり、まさに「将たる者の器」を備えている人だと感じました。
 戦国時代なら、一軍を率いる武将になるでしょう。

 身体にとって自然とは何か、武とは何かといった本質を追及する人には、一度彼らの世界に触れてみるといいと思います。

 私自身は彼らのような本質論を参照しながらも、「臨床武術家」なので、光岡氏が選んだ型を捨てて本質を追及する禅のような意拳ではなく、同じ系統でも相当の型重視の流れにいます。
 その方が伝えやすいし、「現世利益」が大きく、健康や養生、ソーシャル・スキル・トレーニングや劣等感の補償など、心身への効果がわかりやすく共有しやすいと感じられるからです。

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