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June 07, 2013

グランド・マスターを観た

 映画「グランド・マスター」を観てきました。

 ウォン・カーウァイ監督、梁朝偉(トニー・レオン、レッド・クリフの周瑜役の人)主演。
 ブルース・リーの師、詠春拳の達人・葉問(イップ・マン)を中心に、形意拳、八卦掌、八極拳の達人たちが繰り広げるカンフー映画ですが、これまでの活劇的、エンターテイメント前面のカンフーとは一線を画し、日中戦争から国共内戦までの激動に翻弄され、悩みながら己の道を進む武術家たちの姿を描いています。

 私が学んでいる武術が二つも(形意拳、八卦掌)出ているので、こんなことはめったにないと勇んで観に行きましたよ。

 主人公は実在でも、南北に分かれた広い中国の武術界を統一して最強の武術家を後継者に指名するとか、ストーリーはあり得ないフィクションですが、戦争とか当時の文化や中国武術界の状況設定はリアリティーがあり、極めて美しい映像とリアルなアクションで、新しい、本格的なカンフー映画といえます。

 トニー・レオンの知的で静かな佇まいがかっこいいですね。

 特に殺陣には各武術の特徴がよく出ています。武術指導のユエン・ウーピンは各派の指導者を集めて、監督のイメージのもと、綿密にアクションを構成したようです。だからカンフー映画マニア、私のような武術マニアにも十分楽しめました。

 逆に、普通の人がどれだけこの映画を評価するかはわかりませんね。ちょっと難しいかも。

 イップ・マンは実在の人物ですが、他の武術家は実在の達人をモデルにしたフィクションです。中国武術に詳しい人なら誰がモデルかピンとくると思います。

 スーパースター、ブルース・リーは今でも中国、香港、アメリカの映画界では絶大なファン、信奉者が多く、詠春拳やジークンドーなどの武術的な関係者も多いはずですので、映画にするとしたらその師匠、イップ・マンになるのは仕方ないですね。現に彼を扱った映画は他にもいくつかあるようです。
 これからも基本的には「南派拳法」がカンフー映画の中心でしょう。実際見栄えはいいし。

 この映画のテーマは武術家の気高い思想性だと思うのですが、最も思想性の高いといわれる意拳の王向斎老師は主人公にはなりにくいでしょう。桁外れに強すぎるのと、発言が難解でまさに禅みたいだから、面白くならないかもしれません。じっと立っているだけで、アクションにならないし。

 今回、残念ながら我が形意拳の使い手は、悪役です。しかし、監督の各武術に対する敬意はうかがえて、どれが優れているとか単純には優劣を決するようにはなっていません。プライドの高い伝統各派ですから気を使ったのかもしれません。

 しかし、いわくありげに出てきた八極拳の達人・一線天(張震:チャン・チェン)が、素晴らしく力強い戦いを見せながら、結局主人公と何の絡みもなかったのが、残念というか、何のために出ていたのかと思わずにはいられませんでした。主ストーリーのおつまみみたいな感じです。

 まあ、絡ませると戦わなせいわけにいかないから、いろいろ難しかったのかな。詠春拳vs八極拳なんて見たいですけどね。

 ここまで本格的に伝統武術を取り上げたのは、これまであまりないと思うので、是非ご覧ください。

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