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December 23, 2013

(株)貧困大国アメリカ

 堤未香著「(株)貧困大国アメリカ」(岩波新書)は今年話題になった本の一つなので読んでみました。改めて新自由主義経済のいきわたった、アメリカの状況、それを仕掛ける多国籍企業の狡猾さ、残酷さを学びました。

 まさに農業、食品、公共サービス、公教育、マスコミに侵食し自分のものにし、99%の貧困を作り出すことで1%が圧倒的な富を得る仕組みが、次々に明らかにされています。読んでて溜息と絶望感が出てきます。

 小さな政府、規制緩和、市場化の行きつく先が今のアメリカです。

 たとえば、デトロイト市でタイガース球場の入り口で配られてたチラシ。

「注意!デトロイトには自己責任でお入りください」
・デトロイトは全米一暴力的な町です。
・デトロイトは全米一殺人件数の多い町です。
・デトロイト市警は人手不足です。
・人手不足のため12時間シフトで働かされ・・・
・デトロイト市警の賃金は全米最低ですが、市はさらに1割カットしようとしています。

 配布していたのは現役のデトロイト市警官たちだ。
 デトロイト市は2000年から2010年の10年間で、住民の四分の一が郊外や州外に逃げ出してしまった町だ。財政破綻による「歳出削減」で犯罪率が増えているにもかかわらず、市は公共部門の切り捨てを実施、学校や消防署、警察などのサービスが次々に凍結されている。 p168

 こうした傾向は他州にもあり、オレゴン州は警官を大量に解雇し、なんと刑務所を閉鎖したので、刑期を終えていない囚人たちが街にあふれだし、恐怖に駆られた住民たちの多くが外へ逃げ出したそうです。
 もうメチャクチャ。

 そして恐ろしいことに、それを喜ぶ連中がいる。

 そして今度は「自治体破産」を理由に、デトロイトが次の市場に変えられてゆくのを投資家たちは熱い期待とともに待っている。
「次々に町が破綻し、廃墟が広がるここミシガンですら、上位『1%』の層だけは順調に収益を上げている。今のアメリカは、貧困人口が過去最大であると同時に、企業の収益も史上最高なのです」 p175

 貧困を作り出すことで成立する経済。やはり狂ってるとしか言いようがない。著者は「経済界に後押しされたアメリカ政府が自国民にしていることは、TPPなどの国際条約を通して、次は日本や世界各国にやってくるだろう」と警告しています。

 

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