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January 07, 2014

「怒り」がスーッと消える本

 怒りという厄介な感情とどう付き合うかを、最近はアンガ-・マネジメントといいます。クライエントさんに紹介したり、グループなどで副読本的に良い本はないかと思って、当たったのが、対人関係療法の第一人者、水島広子先生の「『怒り』がスーッと消える本」(大和出版)。
 これは実にやさしく、使いやすくてお薦めします。

 対人関係療法は私も以前水島先生のワークショップを受けたことがあります。認知行動療法と同様非常に明快で、いわゆる受容・共感系や精神分析系の人にも、幅を広げるのによいと思います。

 ポイントは、怒りのようなネガティブな感情は「役割期待のずれ」から生じるということです。

 私たちは、出会うあらゆる人に「役割期待」をしています。それは別に身近な人に対してだけでなく、道行く人にも、「道を歩く人、私にかかわってこない人」といった役割を期待しています。だからいきなりなれなれしく話しかけられれば、驚いたり不快になったりします。

 自分が期待した通りの役割を相手が果たしてくれていれば、また相手が自分に期待している役割が自分も引き受けたい役割であれば、ストレスはありません。しかし、相手が自分の期待通りに動いてくれなかったり、相手が期待してくることが「やりたくないこと」や「できないこと」だったりするとストレスになります。 p56

 いうなれば、思い通りにならない、というところを丁寧に検証していくことだと思います。ではどうやって検証するかというと、次の視点を提案しています。

・自分は相手に何を期待しているのか。
・それは相手にとって現実的な期待なのか。
・自分の期待は相手に伝わっているのだろうか。
・相手は自分に何を期待しているのか。
・相手が本当にそれを期待していると、確認したか。
・相手からの期待は自分にとって問題なく受け入れられるものか。
・受け入れられない期待であれば、どのように変えてもらったらよいか。 p57

 これを私なりにみると、アドラー心理学の「人間関係論」と「目的論」にそのままつながる内容だと思います。
 感情とは精神内界の現象ではなく、対人関係の文脈の中で生じることであり、相手への期待は、自分の目的があってこそです。注目・関心が目的で生きている人は、「相手役」に定めた人にその役割を期待します。対人関係療法はアドラー心理学の考えや動きを少し視点を変えて言っているだけです。

 だから相互に学び合えると言えると思います。

 ありがたいことに、アメリカなどでお金と人材のある対人関係療法学派が、どんどんエビデンスを出してくれているので、こちらは自信を持って折衷的に使っていけばいいでしょう。実質的に違いはないですから。現場の人はそれで十分。

 いずれにしろ、怒りに悩む紳士・淑女の皆さん、是非お読みください。

 

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Comments

「怒り」系はなかなか良い本が見つかっていなかったので,さっそく発注させて頂きました。楽しみです。

Posted by: ぐうたら三昧 | January 07, 2014 07:37 PM

 ぐうたら三昧さん

 ありがとうございます。
 お楽しみください。

Posted by: アド仙人 | January 07, 2014 08:21 PM

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