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February 05, 2014

マインドフルネスと武道

 今発売中の「月刊秘伝 2月号」(BABジャパン)に、マインドフルネスの記事が出ていました。

「『マインドフルネス』感じたままを受け入れるための処方箋」と題して、禅僧・藤田一照師(曹洞宗国際センター所長)と心理学者の湯川進太郎筑波大学准教授の対談が載っています。湯川先生は感情制御、ストレスマネジメント、身体心理学がご専門で、空手道糸東流6段だそうです。私と親しいアドラー仲間の臨床家の知り合いじゃないかな。筑波に面白い先生がいると以前聞いたことがある。

 マインドフルネスとは、最近認知行動療法でよくいわれる言葉で、新し物好きの心理屋、カウンセラーなら当然知っていると思いますが、武道界ではまだまだと思います。要するに瞑想状態を、西洋風、心理学的に定義したもので、「今、ここでの経験に、評価や判断を加えることなく能動的に注意を向ける」ことです。瞑想や黙想を説明するときに使われる日本語の「精神統一」は、ちょっと無理して頑張っているニュアンスがありますが、もっと柔らかく、まんべんなく意識をいきわたらせている感じでしょうか。

 私の中国武術でいうと、気功(立禅、站椿)の時が特にそういう状態といえます。さらには型を動いているとき、戦っているときにもそうあるべきといえるかもしれません。お二人の対談はとてもわかりやすく、武道や身体と心の関係に関心のある方には共感できるところが多いと思います。

藤田 「道」というのは、「~すべき」からはじまるコントロールの手法ではなく、「そのままを感じる」ことから始まるものだと考えています。つまり、身体や心や息が「今どうなのか」を感じ、身体や心の声を「聴く」というところから出発するということです。ただし、身体や心の発する声は微少ですので、聴く力がなければ聴けません。

湯川 「頭」優位で、身体や心をコントロールしようとムキになっていると、絶対にその声は聞こえないでしょうね。p59

 マインドフルネスの境地なんて、ちゃんとした武道家にとってはすでに当たり前、理解されていることかもしれませんが、少し新しい言葉が入ることで、ニュアンスが広がったり変わったりします。そこから入りやすい人もいるだろうし、心理学と仏教のエッセンスが融合した新しい視点ですので、是非参考にしてください。

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Comments

月刊秘伝。これは実に興味深いですね。
私自身の鬱からの克服で感じたのですが、マインドフルネスはかなり有効に感じております。
副作用がないのも魅力的です。
ただ、マイインドフルネスについては、いわゆるグー系の集中的な視点というよりはパー系の気づき(awareness)の感じが精神的に取り組みやすい感じがしました。
国内でマインドフルネスの主流であるジョン・ガバット・ジンの手法は、鈴木俊隆老師の影響もあって、禅的なグー系の集中系な印象があります。
個人的な経験では、この手法では、精神的にかなりのガッツが必要になります。
サンガジャパンvol.16で、タイのテーラワーダ仏教のブラユキ・ナラテボー師と、認知行動療法の第一人者である熊野宏昭先生(早大教授)が認知行動療法やACTとマインドフルネス(パー系)との同一性、親和性についての対談が出ております。
ナラテボー師は、駒込病院脳神経外科医の篠浦先生との対談も発売されたばかりですが「脳と瞑想」で出版されています。
ブッダの教えが現代でも十分に通用することが、目から鱗でした。温故知新ですね。

 天目太郎さん

 ありがとうございます。
 グー系、パー系って面白いですね。今度使わせてもらいます。

 マインドフルネスも一気に心理業界に浸透してきた感じです。学者の先陣争いみたいなものもあるのでしょう。古くて新しいものが復活する、アドラーもそうですね。
 瞑想はトランスパーソナル心理学が先鞭をつけて、普通の医学者に広まっていったたのかもしれません。

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