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March 18, 2014

「薬に頼らない個々に合ったうつ病治療」

 うつ病治療の新しい方向性に、サプリメントなどを利用して栄養の取り方を重視したものがあります。画一化した薬物療法だけではなく、患者一人一人の心身の条件の違いを考慮して高度に統合した医療を提供しようというアプローチです。

 ジェームズ・グリーンブラッド著、千村晃訳「薬に頼らない個々に合ったうつ病治療-パーソナライズドメディスン◆9つのステップ」(コスモス・ライブラリー)は、そのアプローチを包括的に紹介した本です。

 訳者の千村先生は精神科医で南池袋クリニック院長、以前ヒューマン・ギルドで講演会をされてお話を聞いたことがあります。 身体のサインからうつを知る
 そして本書の下訳をしたのは、そのクリニックのスタッフでアドラー仲間の臨床心理士さんです。精神医学だけでなく生化学までまたがったすごく専門的な本をよくここまで訳したな、と感心です。
 でも本としては一般向きなので、関心のある人には面白いと思います。

 本書は、うつ病を単に「心の病」とかいって、何だかわからないまとまりとして見てしまうのではなく、患者さん個々の状態を身体的に精査して、必要ならサプリメントを取り入れることでこれまでにない効果を上げることができると主張しています。
 チェックポイントとして、

・有害金属蓄積
・ホルモンのアンバランス
・ビタミン不足
・アミノ酸と脂肪酸のアンバランス
・ミネラルの低レベル、あるいは高レベル
・寄生生物
・セリアック病とその他の食物過敏性
・消化酵素レベルのアンバランス
・腸内細菌叢異常(悪玉菌、酵母菌やその他の腸内フローラ)  p86

 といったところを見て、他にもセルフケアや運動、呼吸や瞑想なども重視しています。もちろん薬物も否定しているわけではありません。本当に包括的だと感じました。本書は生化学的な情報量が多くて、とても私には消化しきれませんが、これを理解した治療者、医師がいれば患者さんは心強いだろうと思います。

 背景にある思想は、アドラー心理学の「人は一人一人違う」という「個性記述論」と心身の一体性を説く「全体論」とまさに重なるものです。

1.個人に固有のパーソナリティー、環境、そして代謝に焦点をしぼる。
2.疾患そのものではなく、その人の全体をケアする。
3.人の体と心の相互作用の結び付きを理解する。
4.単に症状を軽減するだけでなく、健康を回復させる。
5.長期的な健康を促進するように、体の栄養的な蓄えを増やす。 p88

 だからここでも紹介、お薦めするのですが、他に知人がこのアプローチの専門医のところで診てもらって、良かったという報告を聞いたからでもあります。

 うつ病治療の選択肢の一つとして、是非頭に入れておきたいところです。

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