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March 04, 2014

「嫌われる勇気」

 やはりこれ、岸見一郎先生の「嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え」(ダイヤモンド社)を取り上げます。

 なんとアドラー心理学関連で本邦初のベストセラー、アマゾンで1位になったそうです。「そんな時代になったのじゃのう」と思わず爺さんのような思いがわいてくる今日この頃です。

 しかし本書はけして軽い本ではありません。著者はギリシア哲学の学者らしく、徹底的にアドラー心理学の思想、理論に忠実です。 「トラウマは存在しない」「人は過去に縛られない」「叱ってはいけない、ほめてもいけない」など、今だ根強くある常識や精神分析学など心理学の考えを真正面から否定する言葉のオンパレードです。

 しかし、過激な主張にもかかわらず、人生に悩む青年に真摯に向き合い続ける哲人との対話という形式が、新鮮に読者の心に響くでしょう。まさにソクラテスの問答みたいなイメージです。
 多くの読者は、哲人の教えをすぐに受け入れることはないかもしれませんが、何かがスッと胸に入ってくる体験をするかもしれません。自分や世界の見方が変わるかもしれません。

 これまでアドラー心理学関連本は教師、母親、ビジネスマンなどによく読まれてきましたが、本書で「青年」という新しい層が開拓されたといってよいかもしれません。「青年」とはけして年齢が20代とか若い人たちだけを指すのではありません。「青年期心性」とでもいうか、人生に悩み、生き方について真剣に考えたい「青臭い」人です。ということは、すべての世代の人にその可能性があります。

 臨床家の私としては、本書の内容をそのまま哲人のように伝えることはないでしょう。ショックが大きいし、意味のない議論になってしまう可能性があります。相手に合わせながら、手練手管を尽くしていくのが、臨床や相談です。しかしそこでも「読書療法」として使えると思います。すでに私のクライエントさんに読んでいただいている方がいます。

 批判としては、「これは心理学か?」というものかもしれません。実際語っているのは心理学者ではなく哲人で、語られているのは心理学的方法による最新の知見ではなく、よく考えれば当たり前の価値観や思想だからです。特に「トラウマ」に関しては反発や議論があるでしょう。これに対してアドレリアン諸氏がどこまで立ち向かえるか。「アドラーが言うから、あの○○先生が言うからそうだもん」ではダメでしょう。

 私は私なりに答えを考えていきたいと思っています。

 とにかく、非常にインパクトのある本です。本書の影響に注目です。

 ところでこれは妄想ですが、昔ウィーンでフロイトと決別したアドラーが大活躍した後に、その反動かナチスが台頭しファシズムがやってきました。
 もしかして、このブームの後に・・・。

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