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May 05, 2014

ゆるむ体とは

 引き続き神田橋條治先生の「技を育てる」(中山書店)から、太極拳の説明をメモします。

 どの武術でも必須の条件、ゆるむこと、脱力について、中国武術では放鬆といいます。

(引用始め)

①放鬆(ゆるむ・ゆるめる)

 緊張を去り全身の筋肉をゆるめることです。考えてみると筋肉の唯一の機能は縮むことです。縮んで動きと力を発揮するのですから、準備段階としては伸びていなくてはなりません。理の当然です。ただし、瞬時に縮むための準備ですから、ダラーッと伸びているのではなくスタンバイしている、すなわち「意と気」の満ちたリラックス状態です。しかも立位を保つには力が要るし、ゆっくり「動く」すなわち筋肉を縮ませる動きの部分もあるのですから、必要最小限筋肉を縮ませて動くわけです。・・・・(中略)・・・・

 放鬆は縮むための準備状態以上の意味を持っています。「意」を向けて筋肉をゆるめますから、筋肉への注意と感覚を鋭敏にします。感覚の鋭敏は体の内部全体に広がります。とうに、深層筋への注意と感覚を向けることができるようになります。私たちは健康なときは、体の内側へ注意を向けることはほとんどありません。とくに深層筋はほとんど意識されませんから、ここを意識出るようになるには若干の練習時間が必要です。そして、深層筋をゆるめるには全身の骨と重心とが正しくなくてはなりません。歪みのある体では、深層筋は無意識に緊張し続けて、どうにか二足歩行を可能にしているのです。それに関する助言が次の「立身中正」です。

 また、内側への注意と感覚を練習していると、通常の外界への注意と感覚がお留守になりますが、それは一時的なものです。内側への注意と感覚が精錬されると外と内とへ同時に感覚を配れるようになり、しかも以前とは比較にならないほど精密な外界への感性が育っています。武芸者の意識状態です。いいかえると、その状態になるまでは練習を続ける必要があります。  p151-152

(引用終わり)

 さすがに上手い言い方するなあ、と感心します。

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