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September 07, 2014

「カウンセラーは何を見ているか」

 少々浮世離れした話が続いたので、カウンセラー業界のリアルな内幕を。

 といってもドロドロというより、さっぱり、豪快な切れ味のある本です。

 信田さよ子先生の「カウンセラーは何を見ているか」(医学書院)は、表紙も中身もインパクトがあります。
 DV、虐待等女性支援の先駆けとして原宿でオフォスを開業し、10人以上の女性カウンセラーを雇い、経営に奮闘し続けた信田先生の一代記(?)です。

 カウンセラーに甘い夢を見ている若人は、是非本書で頭をぶっ叩かれ、目を覚ますのが良かろうと存じます。そこを通れば、カウンセラーとしての「覚悟」を学ぶことができるでしょう。
 私は信田先生とは性格も違うし、客層も違うけど(男だからDV系はあまりしない)、僭越ながらカウンセラーとしてのタイプは近いところがあるように気がしてなりません。たとえば、

 私は、共感しなければならないと考えたことはない。クライエントの気持ちをわかろうとか、クライエントの身になって考えようと思ったこともない。私が疲れるのは共感しすぎたり、気持ちがわかったりするからではない。
 いくつかのハードルを越えて来談したクライエントは、さまざまな感情の渦の中にあったり、自分の感情をうまく把握できなかったりする。感情と名付けていいのかさえわからない塊りに押し潰されそうになっている。家族の誰かを憎んだり、殺したかったり、そのことで罪悪感にさいなまれていたりする。
 私は、まずそれらを「感情」と名付けて焦点を当てるのではなく、クライエントが抱えている「問題」としてとらえる。次にその問題を抱えたクライエントを主人公にして映画をつくる。頭の中でその場面を再現したり、言葉で物語的に表現できるようにするのだ。  p62

 ここまでではないけど、私もアドラー派ゆえか、感情に焦点を当てずに、物語というか出来事の流れ全体を追っかけようとしている感じです。信田先生は、クライエントの語りを視覚的にイメージするみたいで、傾聴というより「傾観」「傾想」とでもいう感じです。

 そして、カウンセラーはどういう存在か、についての信田先生の考えが好きです。

 思い切った言い方をすれば、カウンセラーとは、バーやクラブのチーママ、占い師、そして新興宗教の教祖を足して三で割り、そこに科学的な専門性という装いをまぶした存在である。これは私の長年の持論であり、水商売と占いと宗教の三要素がカウンセリングには欠かせないと考えている。水商売というと引いてしまう人もいるかもしれないが、援助がサービスであるとすれば、サービス業の特徴をもっともよく表している業種である水商売とつながっていても不思議ではない。  p65

 そうなんだよね。国家資格もいいけど、カウンセラーの原点はここだと思います。

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