「空手と禅」
本格的、伝統的な武道に極めて優れた心理的効果があることは、私には自明でしたがなかなかそれを既存の心理学で説明することは難しいところがありました。
武道の効用としては、よく言われるような教育的効果とか、アドラー心理学的には劣等感の補償や優越性追求の一形態といえるでしょうけど、では、その心理状態はどんなものかを考えるときに、マインドフルネスという方法、概念が昨今の心理学に入ることによって、いくらかそれが可能になってきました。
湯川進太郎「空手と禅」(BABジャパン)は、副題が「身体心理学で武道を解明!」「マインドフルネスが導く全方位的意識へ」とあり、武道で得られる心理的状態が、マインドフルネスと本質的に同じだということを説いたものです。
湯川先生は筑波大学准教授で感情心理学、臨床社会心理学、身体心理学が専門、武道は空手道糸東流6段だそうです。私はお会いしたことはないけれど、知人が筑波の大学院で学んだことがあり、とても面白い先生だとうかがっていました。
本書は心理学に関心のある一般の方、武道家には最適な入門書だと思います。
次回、少し内容を紹介します。
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