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January 08, 2015

「ポジティブ心理学」

 更新が滞っていましたが、明日からちょこっと海外に遊びに行くので準備やらで多忙になっていたのです。

 アドラー心理学に限らず、昨今の臨床・教育心理学は人の肯定的側面に注目して伸ばしていこうとする流れが大きくなり、ストレングス・アプローチとか解決志向とかいろいろな言い方がされています。中でも基礎的、実証的な心理学でその流れを強く推し進めているのがポジティブ心理学。アメリカの心理学の大家・セリグマン氏らの提案で始まり、今や大きな存在になっています。ポジティブ心理学の全貌を知るうえで参考になるのが、

島井哲志編「ポジティブ心理学-21世紀の心理学の可能性」(ナカニシヤ出版)

 ポジティブ心理学の歴史、フロー経験や幸福感、ポジティブ感情など重要概念の研究の概要、教育や健康生成論など社会的応用や介入など、一通り見渡せる感じです。多少心理学を学んだことがあれば、十分理解できると思います。

 そしてこの手の本にしては珍しく、というと失礼ですが、アドラー心理学にも言及していて、学校教育とポジティブ心理学のところで紹介してくれています。
 青木先生という方でお名前を検索したら、昨年の教育心理学会で向後千春先生と赤坂真二先生、古庄高先生とアドラー心理学シンポジウムに登壇されてました。私は行けなかったので、お会いできなくて残念です。 アドラー心理学とクラス会議で子どもの市民性を育てる

 興味深いと思ったのは本書によると、ポジティブ心理学の勃興期に、それよりずっと以前から人の創造性や自己実現を研究していた人間性心理学から強い批判や論争があったそうです。人間性心理学としては先行者としての立場を守るためもあったでしょう。ただ、同じところに着目しても、人間性心理学は哲学的、個性記述的、臨床的で、ポジティブ心理学は科学的、普遍性を目指すところが当初は相容れない感じがして、反発があったのかもしれません。両方大事であると思いますが、今の時代は研究法が進んで来たり、中立性より価値感も研究対象にするようになってきたので、数字を使って説得力を持たせるポジティブ心理学に分があるように思います。
 量的研究の結果は基本的に多数決みたいなものだから、「みんなこんな感じ」と理解していればいいんじゃないかな。

 ポジティブ心理学は「勇気」も射程に入れているので、アドラー心理学側も気にしておく必要があるし、私としてはポジティブ心理学にはどんどんアドラー心理学を吸収していただいてよいと思っています。

 私もいろいろなところで書いたり話す機会が増えたので、ネタ探しに役立ちそうです。

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