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March 21, 2015

「ぼくらの身体修行論」

 書店で見つけて即買いしました。

 内田樹・平尾剛「ぼくらの身体修行論」(朝日文庫)

 そしたら2007年に出した「合気道とラグビーを貫くもの」の文庫版だと、読みだしてわかりました。もうすでに読んでいたのです。内田先生も「うっかり間違えて同じ本を買わないように最初にご注意しておきます」と書いてくれてたのに、うっかりでした。

 でも文庫版に当たって、最近行った両先生の対談が「ボーナストラック」として入っているので、「まあ、いいか」と納得しました。7年前に読んだ分ももう忘れているので、改めて読んでかえって理解が進んだ気がしてよかったです。

 自分自身でももうそんなに経つんだと、驚きです。先生方も進化しているだろうけど、私も多少はというか、仕事も含めてかなり状況は変わったので、ちょっとした感慨はありました。

 7年前の本書に関するブログ記事です。面白かったから3回もネタに使わせていただきました。

「合気道とラグビーを貫くもの」

武道の目的

武道の真髄

 これに付け加えるとしたら、ボーナストラックや本編などでも展開されている体罰や根性論、筋トレへの批判でしょう。これが、身体感覚を鈍くすることの問題をお二人とも主張されています。また、数値主義の問題も語られています。

(転載開始)

内田:こういうことを言うと怒る人がいるかもしれないけれど、スポーツ科学は自然科学へのコンプレックスが強すぎると思う。特に医学に対するコンプレックスが強い。だから、自分たちのやっていることをとにかく医学的な方法に準拠して論じようとする。論文の書き方とか手続き的には科学的厳密性を踏まえているんだけれど、そこから出てくる結論はしばしば脱力するくらい単純なものでしょう。「たくさん運動したグループとあまりしてないグループでは、たくさんした方が上達しました」みたいな(笑)。スポーツ科学の分野から「ええ、そうだったんですか!」というような驚嘆すべき知見を聞かされたという覚えが僕は一度もないもの。

平尾:ほんとにそうです!スポーツ科学的知見のもとに身体をつくろうとして失敗した僕には、それが痛いほどよくわかります。明確な根拠があって単純明快な理路だから、現場はつい採用してしまうのでしょう。あと根性論の反動も原因かと。

内田:いや、むしろ根性論には科学的根拠があるという話の方が十分に研究のしがいがあると思うんです。「体罰によってどれぐらいパフォーマンスが上がるか」「どのラインを超えると体罰は身体能力の向上にマイナスに作用するか」とかいうことはほんとうは十分に科学的な主題だと思う。日本のスポーツの根性論がダメなのは、根性の効率を説明できる科学的仮説の構築を怠ったことですよ。   p272

(転載終了)

 平尾さんの「ほんとにそうです!」という実感はけっこう重くて、研究者は「科学とはそういうものだ」と言うかもしれないけれど、生活や現場では使えない、意味が薄いというのはいまだによくあるように思います。心理学にもあります。

 私的には、基礎的、実証的な科学の知見を統合的に、しかも主観的に納得、満足できる感じで使える枠組みがアドラー心理学にあるように思います。これはエビデンス主義の認知行動療法だけでは難しいし、精神分析学は心理臨床と心理学は違うなんていっているし、ナラティブなど思想的なポストモダン的アプローチはとんがり過ぎてて、ある分野では有効でしょうけど、これもまだ十分ではないような気がしています。

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