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April 06, 2015

「合気眞髄」

 理論物理学者にしてスピリチュアル系の武術家としてトップランナーである保江邦夫先生の「合気眞髄:愛魂、舞祈、神人合一という秘宝」(海鳴社)を読みました。ガチで戦いたいファイター系の人には拒否反応が出るだろうけど、私は好きだなあ、こういうの。きっと保江先生みたいに頭が超良くて、人柄も良ければ私もこんな風になれたかも、と思ってしまいます。ドロドロした人間関係と妙な科学主義がはびこる心理学世界より、純粋論理と感性を研ぎ澄ます理論物理や数学の世界には、時にこのような「異能の人」が出ます。

 本書では、合気とは「愛魂(あいき)」であり、愛が魂から本当に発動すると相手は不随意筋が影響されて、思わず反応できず、倒されてしまうという仮説が展開されています。「汝の敵を愛せ」は、宗教的倫理というより、実際的護身術であるというのです。

 著者のいう愛は、性愛というより、神の愛とか、純粋な愛という高次のレベルのものだと思いますが、愛についてわかりやすく説明しようというくだりが興味深いです。

「愛の反対は無関心なのだから、愛するということは、無関心の反対、つまり強い関心を持つということになる」p19

 と門人に「相手に過大な関心を持つ」ことを勧めます。そうすると技がかかりやすくなるらしい。これはアドラーの「相手の関心に関心を持つ」というフレーズにもつながるような気がしますし、太極拳の「聴勁(相手の力、身体の動きを敏感に感じ取ること)」にも通じるかもしれません。

 本書の後半では、合気道の植芝盛平と大本教の出口王仁三郎、大東流合気柔術の武田惣角の歴史的関係について考察されていて、これは面白かった。確か保江先生は大東流の佐川幸義先生の弟子だったはずですが、「大東流を神人合一武道へ昇華させた」と植芝盛平を高く評価していることが目を引きました。

 確かに植芝合気道が武田大東流よりスピリチュアル的なのは関係者には以前からいわれていたことですが、やはり保江先生は大東流出身ですからね、少し驚きました。

 大本教の出口王仁三郎は、武田惣角には血の臭いがして、植芝盛平には陽気な子供のような魂を持っていると喝破して、「もう、おまえは大東流を名乗るな。これは、それをはるかに超えたものだ。これからは、合気道と呼びなされ」と言ったそうです。

 武道界の永遠のテーマ、合気って面白いですね。

 

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