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June 09, 2015

「生きる勇気」

「アドラー臨床心理学入門」はAmazonでようやく安定供給になったようです。まだの方、是非ご覧になってください。

 さて、最近内外の勇気に関する文献を集めています。何か書くときの資料集めということですが、その中でこの一冊は外せないでしょう。

 パウル・ティリッヒ「生きる勇気」(平凡社)

 20世紀の有名な神学者として非常に影響力のあった人ですが、一般の人は知らないかもしれません。現代人の実存的危機と救済をテーマに深く思索を続けたといわれ、多くの著名人と対話をしました。

 心理学・精神医学関係では、カレン・ホーナイ、ロロ・メイ、ロジャーズといった大御所と対談をしたそうです。

 本書はプラトンから始まる人類の勇気の思想の歴史を振り返り(ストア派、スピノザ、ニーチェなど)、現代人の心の苦悩と勇気がどのようにかかわるか、実に丁寧に考察されています。
 キリスト教信者ではない私には、正直分かりにくいところも多々ありますが、それを超えて勇気に対する表現は、なかなか含蓄があって魅力を感じました。いくつも文章をノートに書き写しました。
 もしアドラーが長生きしていたら、ティリッヒと対談していたかもしれません。

  勇気とは「それにもかかわらず」自己自身を肯定することである。すなわち自己自身を肯定することを妨げようとするものに抗して、それにもかかわらず自己を肯定することである。 p56

<存在への勇気><生きる勇気>とは、生命力の一つの機能なのである。生命力の減退は、勇気の減退を引き起こす。生命力を強化することは<存在への勇気><生きる勇気>を強化することを意味する。 p123

 特にティリッヒは「全体の部分として生きる勇気」という言葉を残しています。これは共同体感覚に沿った生き方を目指すこととほとんど同義であるように思います。

 全体の部分として生きる勇気は、自己自身の存在を参与(participation)によって肯定するところの勇気である。 p139

 共同体をとおしてのみ、世界全体に対する参与、また世界の各部分に対する参与が媒介されるのである。したがって、全体の部分となる勇気を持っている人間は、彼が参与しているその共同体の一部分として自己を肯定する勇気を持っている。 p140

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