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November 19, 2015

身体を観る

 前々記事で「アドラー臨床心理学入門」(アルテ)のAmazonの在庫が入ったと書きましたが、今はもう在庫切れのようです。売れまくっているわけではなく、それほど多く入れていなかったためみたいです。
 Amazonさん、もっと入れといてくださいよ。

 さて、前記事で紹介した故森俊夫先生の「心理療法の本質を語る」(遠見書房)は臨床の知恵が随所に見られる本なのですが、特に面白かったところをメモします。

 森先生は心理療法と演劇の同質性、同型性を見ているのですが、特に身体を観察し見抜くことの重要性を説いています。臨床的に非常に重要なポイントを説明しています。武道をやる人にも興味深いと思います。

 したがって私の場合、観察と言えば、それは身体を観ることと同値である。身体を観れば、その人の歴史や認知・行動のパターンもある程度はわかる。情緒や感情などというものは、身体そのものであるから、身体を観る以外にわかりようがない。…(中略)…しかし基本として、私はよく“重心”という言葉を使う。重心とは何か?うまく言い表せないが、その人の身体全体の緊張を規定している最も基本的な緊張部位のことである。こぶし大のボールがその人の身体の中にあるとイメージして欲しい。どこにそのボールはあるか?もしそれがイメージできたとすると、その場所がその人の持っている重心の位置に近いだろう。p16-17

 一般に、重心が高い方が情緒性優位を示し、女性に多い。低いことは理性優位で男性性を示す。もし重心が高く、理屈っぽいことを喋る人がいたら、その理屈はへ理屈だと考えてよい。また、重心の高さと実際の性に不一致がある人を観たら、とりあえず「性的同一性に混乱あるいは葛藤がある」との仮説を立ててみてもよい。特殊な位置に重心を持っている人を観たら、まず強迫傾向を考えなくてはならない。・・・(続く) p18

 森先生はおそらく、運動科学者の高岡英夫先生のいう「身体意識」が見える人なのだろうと思います。重心とは物理学的な重心とも関係しますが、より心身の意識に関する領域のことを森先生は感じ取ったおられたのかもしれません。高岡先生によると、適切な努力と能力があれば、人は他者、または自己の身体意識という意識の層を感じ取れるといいます。丹田とか正中線や気などはその代表とされています。

 私の動作法の先生もそういうところがあるし、エビデンスとしては出にくいけど、技芸の上達のためには必須なのかもしれません。

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