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March 29, 2016

『幸せになる勇気』

 遂に出た『幸せになる勇気』(岸見一郎、古賀史健著、ダイヤモンド社) 、 『嫌われる勇気』の続編が出るとは思わなかった。今回も近所の書店では、1位になっています。すごいなあ。
 
 あのうざい、いや熱い青年が、またもや哲人に挑みかかります。今度は教師になって、しかもアドラー式にやるんだと気負って臨んだ教育現場で挫折して、アドラー心理学への反発を抱くに至り、アドラー心理学との決別を誓っての参戦です。
 
 ネタばれになるので、是非読書を楽しんでいただきたいのですが、私としては前作より、こちらの方がよかったです。『嫌われる勇気』は初めてアドラー心理学に触れる人には衝撃だったと思いますが、さすがにすでに学んでいる身ではそこまでのインパクトはありません。ただ物語展開やキャラクター設定の作りこみ方、そして岸見先生ならではの明晰な論理はさすがと非常に感心しました。
 
 今回はより実践的ということで「不適切な行動の目的」など、私にはおなじみのアドラー理論が紹介されていますが、私としてはより論理的に、徹底的にアドラー思想が展開されていて、改めて勉強になりました。岸見先生の伝えたいことがどんどん表されていると感じました。結論が提示された「理論」を覚えるのも大事ですが、どのような論理展開の下にそうなっているかを理解することはさらに重要です。
 
 私は本作をベースに考察、実践して自分なりのアドラー心理学を作ろうと思いました。
 
 哲人も最後に言います。
 アドラーは、自らの心理学が、教科書的に固定され、専門家のあいだでのみ継承されていることを望みませんでした。彼は自らの心理学を「すべての人の心理学」と位置づけ、アカデミズムの世界から遠く離れた、人々のコモンセンスとして生き続けることを希望しました。…(中略)…われわれはアドラーの思想を大切にするからこそ、それを更新していかなければならない。原理主義者になってはならない。これは、あたらしい時代に生きる人間に託された、使命なのです。  p276
 まさに私が考えてきたことで、「原理主義者にならない」は私が目指しているところです。ただ、これは試行錯誤、答えのない道を歩むことであり、迷いや間違いもあるかもしれません。
 
 楽しみながらキッチリとアドラー心理学を学べる傑作です。
 

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