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April 25, 2016

『小林秀雄とベルクソン』

 本ブログでは、世事について意見を求めるとき、文芸評論家・思想家の山崎行太郎先生のブログを参考することがこれまで多くありました。
 
 ポストモダン的、左巻き的な人たちとも、逆に安部信者のような凡百の自称保守、ネトウヨたちとは全く違い、山崎先生は徹底的に原理的に、存在論的に考察しようとする姿勢は非常に力強く、迫力を感じます。
 
 保守でありながら、大江健三郎や柄谷行人といった、右巻きの人たちが読解力のなさ故に嫌う人たちを高く評価する姿勢からも、その原理的思考の徹底性がうかがわれます。
 政治的には小沢一郎を高く評価、支持し、あのSTAP事件では小保方氏を擁護し、けして大勢におもねることはなく、臆することなく独自の見解を披露し続けています。
 多分私は思想的には、リベラル保守とでも最近言われる立場に近いと感じているのですが、山崎先生の意見は非常に傾聴に値すると思っていました。
 
 そんな山崎先生は元々どんな本を書いていたのだろうかと思考の軌跡を追いたくなって、図書館にあったのを借りてきました。
 
 
 出版は1,990年、主に80年代に書かれたもので先生の新進気鋭のころですが、あのブログの文体がより厳密な論文となってここにあると、非常に楽しい読書でした。
 
 表題にあるように「感想」という小林秀雄が思想家・ベルクソンについて考察したものの未完に終わってしまったテクストを元に、小林秀雄とは何者か、学者ではなく文芸評論家がこの日本の思想・哲学シーンで中心にいたのはなぜか、ただの作品研究・文献研究と文学批評は何が違うのか、などが明確に説かれ、あたかも鉈のような鈍刀で対象を切り落とすがごとくという印象です。
 
 本書で腑分けられるのは小林秀雄とベルクソンのほか、マルクス、三島由紀夫です。思想が専門でない私は解説は十分にできませんが、印象に残ったところを次回、少しメモします。
 
 小林秀雄もベルクソンも若い頃代表作を1冊読んだだけで全然覚えていませんでしたが、本書で改めてしっかり読んでみたくなりました。元々ベルクソンとアドラーの考えは近いという見方をどこかで読んだことがありましたし、小林秀雄も何となく気になっていたけどきちんと接してはきませんでした。
 
 死ぬ前にもう一度、読んでおきたい人たちです。
 

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