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June 07, 2016

アドレリアン・スペクトラム

 日本でもアドラー心理学が市民権を得て、かなりの広がりを示すようになりました。たくさんの様々な立場の方がアドラー心理学を学び、それぞれの立場で実践するようになっていると思います。
 
 アドラー心理学の爆発的な人気に対して、心理学者や評論家はどうコメントしていいかわからないみたいです。ネットなどで見る批判や反発も的外れなものばかり。既存の心理学や評論家的スタンスでは、けしてアドラー心理学全体をとらえることができないでしょう。
 
 しかし、これからはそういう人たちとの対話の機会もあるかもしれません。誰が受けるか知らないけど。
 
 一方アドラー心理学の世界でも、「正しいアドラー心理学の実践モデル」みたいな人がいて、それをお手本にするのもいいとは思いますが、まさにアドラーが言う通り、人は一人ひとり違うし、アドラー心理学だけで生活している人も少ないと思います。
 
 アメリカでも、人々のアドラー心理学への関わり方を3つくらいにタイプ分けにした論文もあります。
 
 私にとってモデルは岩井俊憲先生やペルグリーノ博士ですが、もちろん性格も気質もかなりお二人とは違います。大体私は暗いし、ホントは口が悪いし、エロいし、基本一人が大好きで、人格者ではありません。
 
 他の指導者的立場の人も知っていますが、文化的背景か発達的な器質の違いか(ADHD系か自閉症系かみたいな感じ)、根本の思想の違いか、最初から肌合いが違う感じがして、参考書にはなっても師匠やモデルにはならないと思っていました。
 でも、ある人には良いのでしょう。それは認めます。
 その辺の誰を師匠とするかという「師匠論」とでもいうべき議論は面白そうなので、いつか考えてみましょう。
 
 その点、先のお二人は私にないものを持っている憧れの人ですね。で、ああはなれないとわかっていてもかなりのものを、アドレリアンとして本物の姿を学ばせていただいたと思っています。
 それでも私は私の関心や諸事情から、仕上がりはだいぶ違います。他のアドレリアンたちとも違います。私は自分がアドレリアンだと胸を張って言っていますが、それを認めない人たちもいるかもしれません。それは全然かまいません。
 
 そんなところから、アドラー心理学の関わり方、受け入れ方には濃淡があるので、それを俯瞰的に客観的に見る視点はないかと考えました。
 
 そこでまずアドラー心理学の多様性を並列的に理解するために「アドレリアン・マンダラ」という言葉を考えました。アドラー心理学の実践領域を分野別に分けたり、アドラー心理学の各理論別にどこにその人が重点を置いているか一覧できるようにするのです。「目的論重視」か「全体論重視」か「勇気づけ重視」かみたいに、私の見るところ人によって好みの、重心の置きどころが違うようだからです。
 
 さらにその人たちを位置づけるためには何かの軸が必要なので、その軸を考えてみるのも面白いかもしれません。それを「アドレリアン・スペクトラム」と呼んだらどうでしょう。自閉症スペクトラムからいただいたのですね。
 
 ただ、「正しいアドラー心理学」を措定してそれに近いか遠いかという見方だと途端につまらなくなります。そういうの嫌い。大体、他人に正しいの間違っているの言われるのは誰でも嫌だし、それをする組織やグループは雰囲気が悪くなります。
 価値判断ではなく、どのような考え方、立場でアドラー心理学を取り入れて表現しているかを見た方が生産的な気がします。
 
 どんな軸がいいですかね。例えば、
 
「原理主義 vs 統合主義」:アドラー心理学の理論は独自で唯一のものだからとそれだけで押し通そうとするか、他の心理学や諸学問の概念や思想を折衷したり取り入れたり、こちらから合わせていこうとする立場。
 
「社会適応志向 vs オルタナティブ志向」:まずは既存の社会、組織、共同体にフィットすることを目指すか、既存のものは否定して理想の違う社会、グループを目指す(夢見る)立場か。
 
「ムーブメント志向 vs 自己実現志向」:市民運動、ボランティア活動みたいなムーブメントの中で実践しそこで認められることを目指すか、ビジネスや社会で適用して自己の夢や目標を実現することを目指すか。
 
「クローズド志向 vs オープン志向」:同じタイプの人たちだけで集まってクローズドでグループや組織を運営するか、どんどん広めてオープンな運動体、組織を目指すか。
 
「此岸(俗世間)志向 vs 彼岸(スピリチュアル)志向」:現実の社会生活に焦点を置いたり唯物論的考え方重視か、宗教やスピリチュアル的なものへの志向が強いか。
 
 どうでしょうか。
 もちろん一人が一つの場所にずっとい続けるなんてことはありえません。時と場合によって軸の上を動き回るのが実際だと思います。
 分類というより、アドラー心理学に関心のある人が、自分の動きを理解するためです。
 
 本来は対立軸ではないものもあると思います。直交軸というか、両立しうるものもあるでしょう。ただ、私からアドラー心理学界を見ると、対立的立場になって見えるということですね。
 
 他にも面白い、良い軸があったら教えてください。
 
 私は基本、統合主義でその中で原理主義的なものをゲリラ的に表現していこうとしている感じですかね。
 アドラー心理学にオルタナティブなものはあまり求めず、臨床の道具として社会適応重視派ではあります。
 ムーブメント志向より、自己実現志向の人の方に健康度を感じます。オープン志向の方にも。
 アドラー心理学をやっている人には意外にスピリチュアル的な文化に親和性のある人が多いみたいです。古くはバグワンやカウンターカルチャーにどっぷりだった人、仏教や最近流行りのスピリチュアル文化に携わっている人もいます。私は基本、スピリチュアルは展開しませんね。私の中では接続はさせていますが、めちゃくちゃ俗っぽくやってます。やはり児相とか福祉出身ですから泥臭いの大好きです。でもいつか「古神道とアドラー心理学」なんてやってみようかな。
 
 とまあ、意味があるのかないのかわかりませんが、暇つぶしに考えてみました。遊びですから、反発した人はお気になさらないように。

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