アドラー心理学が最も威力を発揮し、かつ反対者(?)から最も疑問が出されるのが感情の扱い方です。
「使用の心理学」のアドラー心理学は、感情は対人関係上の目的に沿って使われる道具である、という立場を貫徹するので、「感情はコントロールできない」「感情は行動の原因である」と考える普通の人(臨床家も含む)とは、理論上正面からぶつかります。
臨床心理士の事例検討会や研究会でも、「情緒的な葛藤が原因となって、クライエントは身動きできなくなって、症状になった云々」式の説明がよく聞かれます。
アドレリアンはここは妥協しません。
私も初めて学んだときはびっくりしました。
しかし、いったん腑に落ちると世界の見方が変わりました。
こういう経験を重ねると、心理学は一見科学の装いをしていても、ひとつの思想であり、ものの見方の一つに過ぎないことが実感されましたね。
そのアドラー心理学による感情へのアプローチを最もやさしく、実践的に解説してくれるのが、
カウンセリングのお供に、読書療法のテキストとして、クライエントに紹介しやすい本です。
最近の私は横着になって、カウンセリングの中で何とかしようとするより、アドラー本の読書という課題を出して、日常生活にアドラー心理学の種をまくことをしてみることがあります。いろいろな感想や反応がうかがえて、楽しいです。
『嫌われる勇気』などで、エピソード的にアドラーに触れた人には実践編になるでしょうし、認知療法や対人関係療法などをやっている臨床家にもなじみやすいと思います。
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