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July 09, 2016

『習得への情熱』

 非常に含蓄のある本です。
 
 
 著者はアメリカでチェスの天才少年として世界レベルの大会で何度も優勝を獲得して、私は観ていないけれど、「ボビー・フィッシャーをさがして」という映画のモデルにまでなった人物です。まさに全米注目の有名人だったみたいですね。
 
 しかし映画の影響で変に有名になってしまったために彼は心身のスランプに陥ってしまい、悩み苦しんだ末に太極拳に出会います。
 
 そこで非凡な彼は、単なるヒーリング効果、ストレス解消だけでなく、太極拳とチェスの学びの過程に深い共通性を感じ、武術探求の旅が始まります。
 
 太極拳に魅了された著者は、チェスから推手という太極拳の組手の試合、格闘技の錬磨にフィールドを移して、それらを徹底的に磨き上げ、高めていきます。最後は台湾で開かれた推手の世界大会で優勝するまでになります。
 
 とかくあいまいに、抽象的に語られがちな武術の世界ですが、チェスの名人だけあって、とにかく明晰で具体的です。
 上達のための最も効率的な学び方は何か、戦いに臨む際の心身のコンディショニングのあり方、激しい攻防の中でゾーンに入っていくにはどうするか、などが実に論理的に心理学的に分析されています。
 
 しかし科学的に分析されているだけでなく、著者のドラマチックな成長物語とも重ね合わされているので、読者はワクワクしながら読むことができます。
 
 東洋武術と西洋の思考が著者の中で高度に統合されていると感じました。
 
 著者のキャラクターがまた前向きで、野性的で、粘り強くて、いい奴なんだ。アドラー心理学的な勇気に満ち溢れた人みたいです。
 
 チェスはやったことがないけれど、実は最近私は碁を始めているし、同じタイプの武術をやっている者としては、共感できることばかりで、私にとってこの半年の読書でベスト1かな。
 
 これから印象的な個所をメモしようと思います。
 

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