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August 15, 2016

『記憶心理学と臨床心理学のコラボレーション』

 カウンセリング、心理療法ではこれは必ず、と言っていいと思いますけど、記憶を扱います。クライエントが出してきたお話は、事実というより記憶による物語といった方が正確です。
 臨床心理学のさまざまな理論、学派は、人間の記憶をどのようにとらえて扱うかという違いといえるでしょう。アドラーとフロイト、ユングはそれぞれ独自の記憶理論を持っています。
 
 杉山崇他編著『記憶心理学と臨床心理学のコラボレーション』(北大路書房)は、心理学の最新の記憶研究の知見を、臨床心理学に生かそうという専門書です。
 
 私にはとても勉強になりました。
 
 以前、アドラー心理学の早期回想法について書くときに、自伝的記憶については調べたことはあったのですが、その時本書の存在を知って関心を持っていました。夏休みにようやく読むことができました。
 
 編著者の杉山先生は、先日の日本ブリーフサイコセラピー学会のワークショップで講師をされていました。私が今回先生の講座を選んだ理由も、本書で存じ上げていたからですね。せっかくだからと本書を持参して、お決まりのサインもいただきました(笑)。
 
 本書では、現在の記憶心理学から見ると、トラウマや抑うつを持つ人がどうしてあのような反応や考え方をするのか、その心理学的、脳科学的なメカニズムを学ぶことができます。いろいろな説を紹介していて、とてもここでは要約できないので、関心のある方は是非トライしてください。
 
 惜しむらしくは本書は、精神分析学、ユング心理学、人間性心理学、認知行動療法を取り上げていますが、もちろん、というかまたか、ですがアドラー心理学は入っていません。
 早期回想法は本書のテーマにドンピシャだと思うんだけどなあ。
 
 本書を読んで、早期回想は単なるエピソード記憶ではなく、自伝的記憶と意味記憶と展望記憶として見ることができそうです。一度アドラー心理学と記憶心理学をきちんと照らし合わせることが必要だと思いましたね。
 
 

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