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August 12, 2016

『心理療法のためのリラクセイション入門』

 心理療法・カウンセリングでは、リラクセイションが不可欠です。別にそれに焦点化しなくても、クライエントに安心感をもってリラックスして話をしていただくことが大切なのは異論がないでしょう。
 
 ただ、面接室ではリラックスできても、生活場面で、問題の対人関係の場でリラックスできていないと意味がありません。その意味で、心身のリラックス法を身につけていただくことが役に立つことがあります。
 
 私の場合は臨床動作法とゆる体操、気功法の基礎の三本柱、それに自律訓練法や催眠を使うことがあります。
 それでいつもリラクセイションには関心があるので、9月の心理臨床学会の自主シンポ「合気道と心理臨床」の参考図書に、と買ったのが、
 
 
 著者はあの成瀬悟策先生の片腕として、臨床動作法を研究、推進してこられた方のようです。
 
 本書は著者が動作法を基盤に開発したメソッドを伝えるものです。メソッド自体は動作法を学んだことのある人には難しいものではないと思います。臨床場面で無理なくできるように作り上げられていると思いました。
 
 前半の理念のところは、「主動」という概念を根幹に据えたリラクセイションの理論が述べられていて、アドラー心理学の主体論と全体論にも通じており、使えると思いました。
 主動とは、
 
「今・ここ」を生きる「当人」のあり方とそれに基づいたその人の生きる営みすべてを指すもの」であり、「当人が生きる営みで体験するすべてのことに、当人の主動性が働いているといえる。…(中略)…問題は当人がその実感と確信を持てるかである。 p45」
 
 これまでの心理療法では、リラクセイションは緊張をほぐすための補助的位置にとどまっていたと著者は指摘します。そうではなく、リラクセイションはよりよく生きることそのものであるという視点があると私は思いました。
 
 著者が目指すリラクセイションとは、単に受動的に力を抜いている弛緩状態ではなく、「適度緊張-適度弛緩」のバランスが取れたほどよい状態、またたは活動(動き)として捉え直すことが必要である。 p51」とあり、武術や身体文化に関心のあるものとしては、とても共感できるところです。

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