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September 20, 2016

身体系個性化

 
 ユング心理学の観点から、アスリートや武術をする人の心の発達に迫ろうという本書は、ユングの最重要概念、「個性化」について、新たな修正を提案しています。
 
 個性化は、意識と無意識など様々な内的対立が統合、合一される「全体性の実現」を人生の最大の目標とすることです。一生をかけて、その人の実現されていないもの、隠されてきたもの、育ててこなかった可能性を改めて取り込んで統合することで、人生は完成すると考えるようです。大変魅力的な考えと思います。
 
 しかし、著者はその個性化の概念では十分ではないと考えたようです。どうしても心理学に関心のある人は、心の方に注目をしがちで身体の方からの個性化の道を射程に入れていなかったと、「身体系個性化」という概念を提案します。
 私も非常に共感するところなので、紹介します。
 
(引用開始)
 したがって、心と身体の調和を目指す試みは個性化のプロセスの一側面といえる。そのとき人のたどりうるルートは二つあるだろう。一つは、心のほうから入っていって身体との和解に向かうルート、もう一つは、身体のほうから入って心の統合に向かうルート。従来、前者を中心に、また後者をなんとなく含めて、漠然と個性化と呼んできた。心の専門家は一般に前者のほうにずっとなじみがあるからである。
 しかし、これではちょっと大雑把すぎないか。私は、後者には後者の独自性があるように思う。そこを区別してみると、特徴がもっと見えてきて、その種の個性化の促進につながるのではなかろうか。ここでは、前者のルートを心系個性化プロセス、後者のルートを身体系個性化プロセスと呼ぶことを提案したい。アスリート、あるいはスポーツや武道やボディーワークの愛好者は、基本的に身体系個性化プロセスを歩む人と見てよいだろう。 p11 
(引用終了)
 
 なるほど、です。
 アドラー心理学の「全体論」について考えるときにも参照できる視点と思いました。
 
 

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