教師、教育者向けのアドラー心理学の決定版的入門書です。
著者の佐藤先生はともにヒューマン・ギルドで学んだ山梨のアドラー仲間であり、もはや同志的存在でもあります。
しかも山梨北部の八ヶ岳山麓から毎月欠かさず(本書によれば12年!)東京まで学びに行くその熱心な勉強ぶりは、怠惰な私のとても及ぶところではありませんでした。
本書はその成果が形になったといえ、これをもって佐藤先生は日本のアドレリアン教師の代表格になったといっていいと思います。
それほど中身は充実していて、かつ忙しい学校の先生たちがアドラー心理学を理解し、使えるほどのわかりやすさになっています。
私も改めて、「こういう表現をすれば伝わりやすいかも」と、とても勉強になりました。さすが、日々教壇に立っているだけはあると思いました。
それにしてもアドラー心理学的学校教育を初めて紹介した『クラスはよみがえる』(野田俊作・萩昌子,創元社)が1989年に出て早27年。同書は、著者独特な挑発的な文体が面白く、教育関係者たちにインパクトを与えましたが、かえって反発を買ったり、実際に書いてある通りにするとうまくいかない事例が多かったと聞きます。だからか、その後はアドラー心理学の普及は停滞したように、教育界の部外者ながら私にはそう見えました。
まあ、心理臨床界では最初から相手にされていなかったけど…。
それから2000年代になって、赤坂真二先生や森重裕二先生らが日本の教育現場に合うように創意工夫を凝らしたクラス会議や教育実践の様子を著わし、改めて少しずつ知られて、注目されるようになりました。
これからは佐藤先生をはじめ、多くの教師が後を続くことが期待されます。
教育現場で使えるアドラー心理学に関心のある方は、本書を是非手に取っていただきたいですね。
Recent Comments