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December 14, 2016

『なぜ空手は太極拳で強くなるのか』

 タイトルに惹かれて買いました。
 
 実際カミングアウトするかはともかく、空手の修行者、高段者で本格的な太極拳を学ぶ人は少なくありません。私の流派にも著名な先生が熱心に通われていたりします。
 これは太極拳が空手より優れていると安易にいいたいわけではありません。ただ、空手に不足しているもの、あるいは言語化、意識化が十分にできていないところが太極拳にあることを、真面目な学習者ほど感じ、知っているからだと思います。
 
 そうなら自らの武術の進化、深化のために剛の拳法に柔の極致である太極拳を取り入れるのは理にかなっています。
 
 池田秀幸著『なぜ空手は太極拳で強くなるのか』(フルコム編、東邦出版)は、そんな真摯な一武道家が体得したものを伝えようとした書と思いました。
 
 著者は数々の空手、特に沖縄空手を学びながら、陳式太極拳も学んで独自の鍛錬を重ねてきた人のようです。空手の先生が「空手には技を説明する言葉が少ないが、太極拳をはじめとする中国の武術には、技を説明する言葉と理論が豊富である」と言ったのが、本書の発想のもとになったそうです。
「太極拳の理を、なんとか三戦やナイハンチなどの拳理の説明に役立てられないか、という大胆な発想にたどりつきました」
 と語っています。
 ともすればそれぞれの体系の中に閉じこもりがちな各武術ですが、とても越境的な人です。市井の比較武術学者とでもいえそうです。
 
 著者は元々養護学校の先生をしていたのが、稽古のために辞めて多摩湖の側に移り住んだり、実戦の場を求めて米軍基地で太極拳教室を開いたり、渡米したりとなかなか行動的です。
 それらのエピソードも面白いのですが、やはり分解写真などによる身体操作の解説が参考になりました。
 ただ、著者の理論の根幹である「四呼間の動き」の説明が不足気味で、イメージしにくいと感じました。関節、筋肉を緩めたまま動かすためのコツのようなもので、パッパと2拍子ではなく、4ステップ位に分けて動かすということのようですが、直接学ばないとわからないのかもしれません。
 
 著者の動画もいくつか出ていますが、単なる筋トレではなく、呼吸法や気功法で鍛えぬいた体であることがわかります。御年65歳だそうですが普通じゃありませんね。
 
 
 
 著者のところとは違いますが、山梨で本格的に太極拳を学びたい空手マンは、是非私の稽古会にご参加ください(注:陳式太極拳ではありません)。
 
 
 

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