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March 06, 2017

ナラティヴ・コロキウム参加

 なんか格闘技のイベント名みたいですが、れっきとした心理療法の集まりです。
 
 3月4~5日、駒澤大学で行われた「第5回 ナラティヴ・コロキウム-ナラティブの広がりと臨床実践」に参加しました。
 
 いわゆるナラティヴ・セラピー、社会構成主義に影響を受けた心理療法が一堂に会したようなお祭りでした。
 私は特に専門というわけではありませんが、ナラティヴ・セラピーにはずっと親近感というか親和性を感じていて、というより臨床思想的には自分は社会構成主義者といってもいいと思います。けして科学主義、客観主義、エビデンス主義ではない。
 
 アドラー心理学には多面性があり、完全にそればかりとはいえませんが、現代のアドレリアンには社会構成主義との共通性を見る人が日米共に多いようです。もちろん、基礎心理学的、科学主義的手法でアドラー心理学を研究することも大事なので、その能力のある人は是非進めてほしいと思っていますが、早期回想などその人の語りを重視するアドラー心理学は、最初からナラティヴ的です。
 
 そんなんで、ナラティヴ・アプローチは文系にもできる心理学、というとその筋の専門家に怒られるかもしれませんが、やなりナラティヴ、物語、ストーリーを第一義に取り上げるところは、私にはとっつきやすさがあります。
 
 内容は専門的になるので省きますが、いくつもワークショップや自主シンポがあって、私は「リフレクティング・スキル入門:オープンダイアローグ対話実践の基本」と「アンティシペーション・未来語りダイアローグ」というのに出ました。
 
 全体参加の特別ワークショップには目玉となる登壇者が二人いまして、一人は翻訳家で英米文学者の柴田元幸先生(東京大学)、もう一人は精神科医の斎藤環先生でした。柴田先生は作家・村上春樹との共著も出していますし、その世界では超大物。斎藤先生は言わずと知れた有名文化人です。実は私はこの人たちの生の姿を拝見するのがお目当てでした。
 
 柴田先生は別に臨床の世界の人ではありませんが、レベッカ・ブラウンという作家の翻訳者として、その作品に触発された臨床実践の報告にコメンテーターのように呼ばれたようでした。舞台に上がるなりレベッカ・ブラウンの作品の朗読をしてくれ、しばし文学的空気を楽しむことができました。病と身体、生活について淡々と描写した作品で、読んでみたくなりました。
 
 斎藤先生は精神分析学、特にラカンの解説者で知られていましたが、最近はオープンダイアローグに相当熱を入れていて、今やその先導者の一人です。
 とにかくタフで優秀な頭脳を持っている人だというのが私の印象でした。理論家であるとともに、あれだけ研究していた精神分析学も「効かない」「治療が下手」としっかり批判して、新興のオープンダイアローグを高く評価するなど、臨床でも優れているのだろうと思いましたね。
 
 オープンダイアローグが何かについてもここでは省きますが、斎藤先生に限らず、今かなりの臨床家、研究者が注目していることが実感されました。心理療法の近未来の方向性がそこにあると、多くの人に予感されているかのようです。
 
 その他にもいろいろな先生にお会いでき、お話もでき、かなり刺激になった2日間でした。

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