日本にあるアドラー心理学本はできるだけ網羅しようと努めている私ですが、その中でトップクラスの質を持っているとお薦めしたいのが、向後千春著『幸せな劣等感 アドラー心理学 <実践編>』(小学館新書)。
向後先生は教育工学や教育心理学がご専門なだけに、さすが伝え方が秀逸。一般の方にはわかりやすく、心理学に詳しい人や専門家にはその知的欲求に十分応える構成、内容になっています。
よくある「目的論」とか~論の羅列ではなく、キーワードとQ&Aからの説明で、読者が入りやすく工夫されているからでしょうか。
岸見一郎先生はギリシア哲学とアドラー心理学、岩井俊憲先生は人材育成や日常具体のアドラー心理学、向後先生は現代心理学とアドラー心理学、それぞれ実践を重視しながらも表現の軸足が違います。
そういうところも楽しめるようになると、アドラー好きとしてはいいでしょうね。
ちなみに私はもっぱら、臨床心理学とアドラー心理学を足場にしています。臨床は、向後先生みたいにスッキリ表現できないのが何とも難しいところではあります。
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