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November 04, 2017

3年かけて良師を探せ

「3年かけて良師を探せ」
とは中国武術の文献や物語の中でよく言われている言葉です。
 
 自分の道を見つけるためには、たくさんの指導者を訪ねて、渡り歩いて、探し回りなさいという教えのようです。
 例えば太極拳でも空手でも合気道でも、同じジャンルの武術であってもいろいろな系統や流派があるので、最初のうちはできる限り広く見聞することが大成への道である、最初から一人の師匠、一つの流派に固まるのは大変危険であるという教えと考えられます。
 
 ではその後、心に決めた師匠について一意専心、一つの道に突き進めばいいかというと必ずしもそうではありません。
 
 歴史に残る達人たちの話を聞くと、実は一人の師について一つの流派を極めたように見えても、初心者の時期だけでなく、年数がたってからでも「浮気」をしているエピソードがけっこうあるのです。それは師匠公認の場合も、非公認の場合もあるようですが。そして研究と実戦を踏まえて、達人になっていくのです。
 
 上達に「浮気」は必要なのです。
 
 男女はダメですよ。
 
 どうしてこんなことを言うかというと、アドラーリーグ構想をアップした翌日に、まるでそれに反応したかのように野田俊作先生がブログで「浮気するなよ」という記事をアップしたと、あるアドラー仲間が教えてくれたからです。
 
 私は野田先生のブログを読む習慣がないのでわかりませんが、恐れ多くも大先生が私ごときに反応するわけはなく、内容もいつもおっしゃっていることと代り映えしない気がしますが、確かに私とは視点が違うようです。
 久々に読むと相変わらずで逆にうれしいですが、これではアドラーリーグには入っていただけそうもありませんねえ。残念です。
 
 野田先生は自身のアドラー心理学は密教だとおっしゃっているらしいですが、最近チベット仏教にはまっているらしいですね。アドラー心理学野田派は密教化、オカルト化していくのでしょうか。オカルティズムや神秘主義に多少嗜みのある私としては、興味深いところではあります。
 
 確かに、学びたい人が野田派だけで身を立てたいのなら、おっしゃる通りでしょう。
 
 しかし、これは「供給者側の論理」であると私は思います。
 学びに行く側は違って当然。
 むしろ真面目に従う方が見込みがない。
 
 実は現実に起こっているのは、師匠が弟子を選ぶのではなく、弟子が師匠を選ぶということです。
 
 学ぶ人は師匠を名乗る人たちを冷静に見渡し、誰がどの程度の人物か、冷酷に判定しているものです。信者以外は。そしてこの人からどの程度のことを学ぶかを判断する。これはとても健全な態度だと思います。
 
 いろいろな系統を学ぶと「混乱」するからというのは、そういう人もいるかもしれませんが、別に来なくなったのは混乱したからではなく、あきれたからとか、気が合わないからとか、理論はいいけど○○がねとか、信者っぽい人から変なこと言われたとか、いろいろあるようです。
 いや、どこがというわけではないですよ。私はいろいろな人とお会いしたり、相談されてきたので、その中でいろいろな理由をうかがってきました。もちろん私のグループから他へ行った場合も、似たような思いを持たれた方がいたかもしれません。
 
 反対に、アドラー心理学のいろいろな系統を渡り歩いて学びつくしたアドレリアンの最高峰は、私にとってなんといっても、ペルグリーノ博士でした。
 お会いし、カウンセリングや講義のパフォーマンスを見て、身体意識を観察して(一応気功家なので)、「これはものが違う」と思いましたね。アドラーの息子、クルト・アドラーがペルグリーノ博士に、「あなたは父に似ている」と言ったと聞きますが、そうだろうなと感じました。この人は是非、モデルにしたいと思いました。
 
 一つの系統だけの原理主義を貫くことで、達人(優れたアドレリアン)になることもできるかもしれませんが、意外に少ないように私は思います。なぜかというと、単に信者的になって目が曇るというか、批判力や創造力が衰えるからです。上達には、対象を相対化する力や俯瞰する視点が必須だと私は思います。
 
 原理主義に向いているのは、こだわり中心に生きる気質の人(粘着気質や自閉症スペクトラム系の人など)くらいではないかな。私が学んだ気質論では、粘着気質の人は「親分子分」の関係になりたがるそうです。そういう関係性に入れると強みを発揮します。自閉症スペクトラムの人はコピーがうまいですからね。
 むしろ、いろいろな系統を身につけることでさらに達人になることが可能である、これが現実だと思います。
 
 とにかく人の縁、学ぶ縁はコントロールできないもの、「天の配在」と言えます。「出会った!」と思った機を逃さず、どんどん浮気をしましょう。
 

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