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November 15, 2017

『老子と太極拳』

 太極拳は老子や荘子の老荘思想、道教と深いかかわりがあることは、太極拳を多少なりとも学ぶ人なら知っていることでしょう。
 
 ではその中身は、というと相手が中国古典であることもあって、なかなか詳しく学ぶ機会はありません。いざ挑戦しても中国語も漢文はもちろんわかりませんし、現代訳もわかりやすいわけではないので、歯が立たないことが多いでしょう。研究者も普通武術の専門家ではありませんから、武術のような身体文化から老子を見るという発想はありません。
 
 また、『よくわかる老子入門』『ビジネスに役立つ老子』みたいな一般向きの、どちらかというと自己啓発的な本を見ても、実際に太極拳や武術とどう絡むのかわかるものではありません。あくまでも雰囲気を味わうにとどまります。
 
 私も『老子』は持っていますが、昔ざっと読んだだけに過ぎず、とても消化できていません。
 
 つまり、老子の思想と太極拳を高度に学んだ人による解説が必要なわけです。
 
 清水豊著『老子と太極拳』(ビイング・ネット・プレス)は、まさに太極拳などの伝統武術(日本の合気道なども含む)と老子の両方の思想を味わうにはうってつけです。
 
 著者は10代より楊家太極拳、合気道、新陰流などを修め、國學院大學大学院や国立台湾師範大学などで神道や中国思想の研究を行ってきた人です。
 『老子』に記されていることは、まさに太極拳の考え方そのものである。…(略)…
 
 目先の闘争ではなく、おおいなる道(タオ)との合一を視野に入れた武術のことを、とくに「道芸」ということがある。太極拳や八卦拳、形意拳それに合気道も、みな「道芸」に属するものなのである。そうであるから、どれも、『老子』の内容と共通性を有するわけである。いうならば『老子』は、道芸の奥義書といってもよいのである。  p4
 
 
 含蓄のある文章で、太極拳がいかに老子の思想を具現化し、身体化したものかが非常によくわかりました。太極拳の先人たちは、ただの雰囲気で老子を取り入れているわけではないのです。
 私にはとても勉強になりました。
 
 本書を読むと、きっと太極拳や武術の理解が深くなり、日頃の稽古が一層愉しくなるでしょう。
 
 ここでも時折、大事と思ったところは引用、メモさせていただこうと思います。
 

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