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December 15, 2017

スパイはアルコール依存症になる

 12月14日(木)はアイメッセ山梨という大きな施設で、山教組事務職員部研修会にて講師をしました。学校の事務職員の組合の部会で、170人もの参加者が集まってくれました。
「職場に活かすメンタルヘルス入門」というテーマで2時間半、ストレスマネジメント、産業メンタルヘルス、そしてアドラー心理学の勇気づけの話をしました。
 
 とても盛り上がって、楽しく進めることができました。学校関係者はノリがよくていいですね。
 
 さて、話は全く変わって、世界政治の裏側をとことん語り合った『世界政治 裏側の真実 インテリジェンスとコンスピラシー』(日本文芸社)が大変面白かったので紹介します。
 
 副島隆彦氏と佐藤優氏という天才的な知性をお持ちの二人が、お互いを認め合いながら激突するという内容です。
 
 トランプ登場の意義、プーチンと習近平が仕切る世界の流れ、北朝鮮騒動のこれから、安部政権の薄汚い裏側など興味は尽きない内容です。
 
 その中で臨床家的に興味を引かれたところをメモします。
 
 インテリジェンス、スパイの世界では、最近は積極防諜(ポジティブ・カウンター・インテリジェンス)といって、わざと偽の目標や情報を与えて、本来の目標を守るというやり方が主流なようです。
 
 そのような複雑な騙し合いが日常にあるインテリジェンス・オフィサー、要するにスパイたちは誰が敵で誰が味方か全然わからなくなるそうで、その中でどのような心理状態になるのかを佐藤氏が明かしています。そうだろうな、と思いました。でもカウンセリングに行くわけにはいかないし。来られても困りますが。秘密を明かされては、こっちも殺されかねいしね。
 
(引用開始)
 
副島 そんなことをしていると、組織は疑心暗鬼になって、ものすごく凍りつくでしょう。
 
佐藤 ものすごく凍りつきます。だから、よくできるインテリジェンス・オフィサーや警察の幹部は酒で紛らわします。それでアルコール依存症になっていく。とにかく強い酒を飲むようになるから、アルコール依存症のリスクが出てくるのです。
 
副島 もう、誰がスパイか、敵かわからないのでしょう。誰が裏切るか、わからない。
 
佐藤 敵と味方がわからなくなります。
 
副島 プーチンのさらに裏側と奥のほうというのは、誰にも解けないですよね。
 
佐藤 そうです。裏の奥に行かないといけない。裏の裏は表ですから、裏の裏をさぐっていると「何だ、表の情報じゃないか」という感じなってしまいます。
 
副島 裏と表がひっくり返るんですね。メビウスの輪になるわけだ。・・・(中略)・・・
 
佐藤 モスクワにいたときに「もしいまこいつが、俺を裏切ったら俺は殺されるかな」というようなことを毎日、考えたわけです。だから本当に面倒くさい。インテリジェンスの仕事というのは、そういう業務ですから。やはり、神経がささくれだってくる。私みたいに気の弱い人間にはできません(笑)
 
副島 そこを佐藤さんは大変な努力と強靭な精神(信仰心)で生き延びたのですね。やはりそこで落ちていく人たちがいるわけでしょう。
 
佐藤 落ちていく人間たちもいます。また、私みたいに政治事件に巻き込まれると、「こんなに国のために尽くしたのに」と本当に内側から、価値観が崩れて、ボロボロになってしまう。それで裁判が終わって、2、3年で、エネルギーを使い果たして死んでしまう。そのときに怖いのはやはりアルコールです。だいたいアルコールに溺れてボロボロになっていく。
 
副島 それを救うのは何なのでしょうか。
 
佐藤 私の場合、それはたまたま人間関係のめぐり合わせがよかったからです。やはり、そのときに、自分を救ってくれるのは、神様ではなくて、友だちなのです。いい友だちが何人いるか。それだけなのですよ。・・・(中略)・・・だから、自分がどんなにきつい状況になっても、支援があるかどうか。助けてくれる友だちがいるか、いないか。あるいは少なくとも裏切らなかった友だちがいたか、いないか。そういう友だちが1人もいないと、やはり持たない。・・・(中略)・・・
 
副島 当事者でない外側の目といいますか。組織に絡まっていない第三者の冷静な目というのが、いつもないといけないのですね。暴力団の世界と一緒ですね。暴力団の玄人さんからすると、友だちは素人さんが一番いいわけですよ。  p155-159
 
(引用終わり)
 
 この後で佐藤氏は、インテリジェンス・オフィサーは激しいストレスがかかるので、適性がないと自殺を図る人も少なくないことも実例を挙げて明かしています。超ブラックで怖い世界だ。
 
 それにしても、このようなストレスから回復するには、アドラー心理学でいう「交友のタスク」がキーとなるというのは興味深いですね。他者信頼感が心の健康にいかに重要か、ということの傍証でしょう。
 
 
 

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