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March 05, 2018

アドラー心理学、宇宙から教室へ

 なんのこっちゃと思われるでしょうが、3月4日(日)はまさにそんな一日でした。
 日本臨床・教育アドラー心理学研究会第8回大会は60人もの参加者を得て、無事成功裏に終わりました。
 
 午前は、岡野守也先生(サングラハ教育心理研究所)による「共同体感覚から宇宙意識へ~コスモロジー心理学入門」という講演。共同体感覚を突き詰めるとどのよう境地に至るかを指し示すような内容で、とてもエキサイティングでした。
 
 岡野先生は昔、牧師、春秋社の編集者として古今東西の宗教、思想、心理学に通暁し、アドラー心理学やトランスパーソナル心理学の翻訳出版を誰よりも先駆けて手がけた人です。アドレリアンではありませんが、普通のアドレリアンより年季が入っています。
 
 1970年代に既に、「日本に必要なのはアドラー心理学だ」と喝破して、『人生の意味の心理学』『人間知の心理学』(岸見訳の前の高尾訳)を出した実績があります。
 
 その理解の深さを背景に、アドラー心理学の限界も指摘し、割と早く亡くなってしまったアドラーがさらに生きていたら進んだであろう世界を、先生独自のコスモロジー心理学として展開していきました。
 
 御年70にもなろうというのに、実にキレッキレの頭脳と論理構成力に圧倒されました。
 
 内容は説明しきれませんが、宇宙の始まり、生命の進化の歴史から我々の生命のつながりの事実を徹底的に理解することで、共同体感覚が単なる観念ではなく、深いところから理解され、血肉化されることがわかりました。
 
 他に、我々が普通高校まで、あるいは一般人への科学教育で扱っているのは、今でも「近代科学」であって、「現代科学」ではないという指摘は興味深かったです。
 その現代科学に基づいた先生の話は、高校生や大学生に是非聞いてもらいたいと強く思いました。
 
 講演の本筋とは関係ないところで面白かったのは、あのフランクルはアドラー初期の弟子ですが、のちにアドラーと分かれてからは、共同体感覚を中心にした後期のアドラー心理学を全く知らず、初期のアドラー心理学ばかりを批判していたそうです。偉大なフランクルも頑迷固陋なところがあったのでしょう。
 
 その後のランチセッションでも、感銘を受けた参加者が次々に岡野先生のところに集まっていました。
 
 午後は一転、現実の臨床と教育の世界へ。
 
 養護施設にお勤めの久保田将大先生という若手の臨床家による、「課題の分離の臨床適用についての質的研究~カウンセリングで活かすために」という研究発表。
 
 「課題の分離」はもはや日本のアドラー心理学の看板メニューという感じですが、では、実際どのように使われているのか、何が起こっているのかを探ったものはありません。特に子育て現場で適用されることの多い課題の分離を、カウンセリングでどのように使うとよいかを、明らかにしてくれた意義は大きいと思います。
 本研究の論文化、さらなる研究や実践の発展が望めそうでした。
 これからも久保田先生のような若手アドレリアン臨床家、研究者が増えてくれることが望まれます。
 
 最後は、本研究会会長の鈴木義也先生が仲間と新しく開発した「エンカレッジシート」の発表。
 たった1枚のワークシートを使うという、シンプルにして意外と過激な方法でビックリ。子どもたちの多様な意見をそのまま拾い上げて、共有することで、問題解決に自然といたり、共同体感覚の育成に向かえるというツールです。
 4月に、その内容を紹介した『これ1枚で学級の問題が解決できるエンカレッジシート』が学事出版から出版されるそうです。
 是非、確認してみてください。
 
 と実にスケール幅の大きい一日となり、アドラー心理学の可能性を感じることができました。
 
 私は司会者を務めましたが、楽しすぎて写真を撮るのを忘れてしまいました。どなたか撮った方がいらっしゃたらいただきたいです。
 
 発表者の皆様、お疲れ様でした。ありがとうございました。

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