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October 12, 2018

脳のモジュール構造と自閉症

 前記事の小林朋道著『進化教育学入門』(春秋社)から。

 人の知能はいろいろな知能の種類からできているという「多重知能論」というのが今の心理学の定説となっていますが、それを進化心理学がさらに進めて、「進化的適応」という観点から、人は生きる環境に適応でき、繁殖できるためにさまざまな「課題専用モジュール」を脳に作り上げたと考えたようです。

 いわばパソコンの各種ソフトのように、ある課題に向けて動き出すソフトウェアがあらかじめ脳にビルトインされているのです。

 その方が汎用性のあるソフトを作るより、より早く適切に反応できたりして、生存に有利だったためです。

 例えば「同種専用モジュール」は、集団内の他人といかにうまくやり取りするかという課題のために、相手の感情を読み取って判断するソフト。

「物理専用モジュール」は狩猟採集の道具や住居をうまくつくるために、物理的な対象の把握や操作のためのソフト。

「生物専用モジュール」は食物になる動植物や有害な動物にいかに適切に対応するか、生物の特性の把握や操作のためのソフト。

 同種専用モジュールの下位には、「言語専用モジュール」があると想定されています。これは言葉を習得して生み出すソフトで、言語学者のチョムスキーのいう普遍文法に相当すると考えられます。

 本書では、自閉症についても言及しています。

 自閉症と判断された人の中には、物理専用モジュールがとくに発達しており、計算や図形の認知・記憶等に驚くような能力を示す人もいます。また、同種(ヒト)以外の動物について、顕著な理解・記憶能力を示す人もいます。

 突出するモジュールにはさまざまなケースが見られますが、自閉症は、「同種専用モジュールの不調」を根本に据えることによってよりよく理解できる、という点では多くの研究者が同意していると言えるでしょう。 p126

 我々が知っていることを進化心理学的に言い換えているわけで、確かにそうだろうなと思います。

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