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April 28, 2019

『身体は「わたし」を映す間鏡である』

 最近私は、身体技法研究家の甲野陽紀さんの講座に出ています。毎月山梨の某所で行われているものに参加させていただいているのですが、毎回驚きの連続でとても楽しい体験をさせていただいています。

 注意の向け方、内言(心の中でつぶやく言葉)で動きの質や安定性がてきめんに変わるワークの数々はとても面白く、人の身体と意識の深遠な関係に気づかせてくれます。

 例えば、普通身体を安定させるといえば、足の裏に注意を向けたり、へそ下の下丹田を意識したりと、割と中心となるところを定めたり、軸や正中線などの言葉が飛び交いがちでした。これまでの身体技法のワークはそういったものを強調したものが多かったと思います。

 ところが甲野さんのワークは、身体の末端に注意を向けたり、同じ注意を向けるでも言葉の使い方(「見る」と「目線を向ける」の違いとか)でより良い動きができることを実感させてくれます。これはとても画期的な内容だと思いました。

 さすがお父様が有名な武術研究家・甲野善紀さんなだけに、陽紀さんは類まれな身体への感性を持っている方であります。

 お陰様で、私でも太極拳や推手(中国武術の組み手)の時に、自身では非常に良い安定感と強さを体感したり、相手にも感じさせたりできるようになりました。もちろん、まだまだですけど。

 甲野さんのワークは、単に武術やスポーツに使うだけでなく、日常生活で使えるものばかりなので、一般の方にこそ学んでもらいたいです。

 実際、私はスクールカウンセラーとして勤務先の中学校でメンタルヘルスの授業を依頼されたとき、緊張したときに心身を安定させるための技法として、甲野さんに教わったあるワークを教えました。あることをすると、瞬時に身体が安定することを体験できるので生徒さんたちも驚き、大変盛り上がりました。中には「神だ!」とふざけて叫ぶ子どももいましたね。普通スクールカウンセラーなどがする授業では、認知行動療法に基づいたストレスマネジメントの座学と、せいぜい簡単な呼吸法かマインドフルネス瞑想を紹介することが多いと思いますが、これは再現性が高く、ほんとにお勧めです。

 いつか日本心理臨床学会とか、最近作った日本個人心理学会でも紹介したいと思います。

 その甲野さんが最近出した本が、甲野陽紀著『身体は「わたし」を映す間鏡である』(和器出版)

 甲野さんの多彩なワークの片鱗が感じられる良書です。

 次回もまた、少し紹介します。

 

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