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April 09, 2019

神道とは何か

 数回前に紹介した『神道入門』(新谷尚紀著、ちくま新書)からメモします。

 神道という言葉から、たくさんのことが連想されます。一般には、神社、初詣、七五三といった私たちの生活に身近な宗教的な習俗というところが多いかもしれませんが、最近はそれに加えてパワースポットというイメージもあるかもしれません。いまやパワースポット巡りはけっこう大きな観光産業となっているかもしれませんね。

 あるいは、戦前の国家神道的なもの、右翼の街宣車や安倍政権を支える日本会議の面々(右派知識人など)を連想する人もいるかもしれません。

 私のように武道をかじっている者は、道場の奥にある神棚や掛け軸(鹿島神宮など)が思い出されたりします。合気道の開祖、植芝盛平が古事記や言霊を研究していたり、今でもディープな合気道修行者は、神道が源流の修験道に取り組んだりします。日本武道と神道は切っても切れない関係があります。

 一応、現代の神道は宗教の一つというくくりになっています。事実、全国の神社を統括する神社本庁は宗教法人であり、実際ほとんどの人は神道は宗教と思っているでしょう。

 しかし、一般的な宗教と神道はかなり異なっています。

「一般的に宗教 religion とは、教祖・教義・教団という三つの主な構成要素をそなえた一定の信仰集団の思念と行動の体系であるという風に理解されている。 p201」

 キリスト教も仏教もこの定義を満たしています。ところが神道はどこまでいってもあいまいです。キリストもブッダも実在したようだけど、天照大御神は不明(というか神話の登場人物)、経典もない、教義もあいまいです。厳密な意味で神道は宗教と言いにくいところがあります。著者は、

「もしどうしても宗教 religion という概念にこだわりを感じてしまうような場合には、信心深い人とか信仰に篤い人というような意味で、信仰 blief といっておけばよいであろう。 p202」

 と言っています。確かに神社で熱心に祈願している人(最近は若い女性がかなり多いですね)を見ると、その祈りの内容はたとえ恋愛とか縁結びであっても、信仰深いものを感じます。そもそも、一杯神様がいて人々はそれらを拝んでいるので、宗教でないというのも変でしょう。

 本書は古代から現代までの神道の歴史を一気に俯瞰して見られるようにしてくれています。

 著者は、

「神道とは形式である、容器である、たとえていえば、電車である、バスである、という結論である。神道とは、その本質は、素材 material にではなく、形式 forme にある、とういことである。神道は形式であり、時代の変化の中にさまざまな素材を、その中に含めてきている。電車やバスだから、そのときどきに、時代ごとに、さまざまな乗客が乗ってきているのであり・・・ p10」

「神道は、流動的な歴史を持って伝えられてきているものなのであり、その実態はいわば動画であり、それを静止画としてある時期をもって、真の「神道」とはこれだ、というふうに、固定化させて考えるのは、大きなまちがいのもとなのである。 p65」

 と述べています。神道は実態ではなく、流動的なプロセスであり、日本人の心や文化を形成する極めて大きな器であるようです。

 

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