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April 19, 2019

『子どものための精神医学』

 各方面から絶賛されています。子どもの発達支援に携わる人には必須でしょう。

 滝川一廣『子どものための精神医学』(医学書院)

 精神医学は、大人の精神病を基に発展してきたので、子どもの問題については、発達障害とかある問題に特化したものはあっても、全体を網羅した良書はなかなかありませんでした。

 本書は医学関係者以外の支援者や教師、保護者向けということなので、噛んで含めるように丁寧に説明されていて素晴らしい内容です。公認心理師などの心理カウンセラー、福祉などの支援者にこそ読んでもらいたいと思いました。

 本書は発達障害や虐待、PTSD、不登校、緘黙、など子どもの心理的支援者が遭遇する問題のほとんどが網羅されています。本書を通読すれば一通りのことはわかります。一人の臨床家、研究者がよくここまで書けたと思います。著者の臨床能力は半端ないのでしょう。

 特に認識の発達(知的発達)を縦軸に、関係の発達(人間関係の形成や共感性など)を横軸に、子どもの発達を整理した図と論説は大変参考になりました。私も発達心理学系の講演や研修をする時に、早速使わせていただいています。

 ただ、科学的精神医学とフロイト、ピアジェをベースにしているので、親子のアタッチメントを強調していても、きょうだい関係には言及していないところなどはアドラー心理学としてはもの足りなさを感じますが、共同体感覚的なものの重要さは理解されているので、アドレリアン諸氏にも大いに参考にしてもらいたいです。

 厚いですけど、一家、一職場に一冊です。

 

 

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