『無意識に届くコミュニケーション・ツールを使う』
最近、古神道やシャーマニズムに関心があり、それに最も近い心理現象は催眠トランスであることは間違いないので、積極的に学ぼうとしています。
日本の催眠臨床の第一人者の松木繁先生(前鹿児島大学教授)の『無意識に届くコミュニケーション・ツールを使う 催眠とイメージの心理臨床』(遠見書房)は、「効果的なコミュニケーションとしての催眠」という視点と、ご自身の豊富な臨床体験から催眠を論じた本です。
催眠は「かける/かけられる」という一方的な関係性ではなく、共同作業であり、協力関係であるというのが著者の主張です。そしてクライエントとセラピストは、主観的には催眠状態を共有している状態」になります。セラピーはそこから続いていきますが、それは「クライエントーセラピスト間の相互作用による一つの創造的仕事としての面接」を行っていることになります。その結果、ミルトン・エリクソンのいう「無意識の力」、「人の奥深くにある知恵を持った自己」が活性化し、自己治癒力を高めることができる(p28)のです。
催眠状態だからこそ、全ての心理療法に必須の「守られた空間」が作りやすく、そして、クライエントの主体的な活動性が自己効力感を高め、変化の可能性を開けると筆者は説きます。
私もたまに催眠をしますが、なんかわかる気がします。普通の言語的セラピーにはない面白さがありますね。
本書で語られていることは、一般の人たち、催眠を知らないセラピスト、カウンセラーの催眠のイメージとはだいぶ違うかもしれません。
セラピストにとって本書は初級編というより中級編という感じですが、催眠に関心のある方は是非本書に当たったり、著者から学んでみるといいと思います。
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