『武田三代』
大河ドラマ「真田丸」で時代考証を担当した平山優先生の『武田三代』(サンニチ印刷)は、武田信虎・信玄・勝頼の軌跡を、豊富な写真とビジュアル資料でまとめた、戦国武田氏の格好の入門書です。
特に、信玄や勝頼に比べてこれまであまり描かれることのなかった(ドラマでは、もっぱら悪役でしたね)信虎の事績を詳しく載せているのはすばらしいところです。
私もとても勉強になりました。
今年は甲府ができてちょうど500年、甲府市はいろいろなお祭りや企画を催していますが、実は甲府を作ったのは武田信虎なのです。それまで武田氏の本拠はその隣の石和近くにありましたが、それを信虎が永正16年(1519年)、甲府市北部の相川扇状地、現在の武田神社に館を移し、家臣たちもその周辺に住まわせたのが始まりです。
このように創始者と年代がはっきりしている都市の例は、全国でも大変少ないそうです。しかも家臣の武家たちを本領から切り離して城下に住まわせるのは、豊臣や徳川の時代には当たり前ですが、大変先駆的だったそうです。
「いくつかの制約はあるものの、豊臣政権の政策を遥かに先取りする画期的な性格を持っていたといえよう。信虎の先進性は際立っていると思われる。 p21」と平山先生は述べています。
甲府を作ったり、分裂していた甲斐の国を統一したり、やはり信虎も大変優秀な人だったのでしょう。息子・信玄の飛躍は、信虎なしにはなし得なかったのは明らかです。
そういうわけで、最近は信虎の再評価がされるようになってきました。
いつか大河で改めて、武田三代のドラマがあるといいですね。
本書はさらに武田氏関連の場所を網羅した大きな地図が付録でついています。これを見るのもとても楽しい。これを頼りに、中部、東海、上州をドライブしようかと思いました。
歴女、歴男は是非。
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