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July 13, 2019

TFTを復習

 昨日夜、TFT(思考場療法)の第一人者、森川綾女先生(TFTセンタージャパン)が来県、山梨精神医学研究会という集まりで講演をしました。

 TFTは、問題や症状を意識しながらツボをトントン叩くことで、トラウマ記憶の不快感や不安やイライラ、怒りの感情を解消させてしまう画期的な心理療法です。画期的過ぎて、これまでの心理療法の常識とかけ離れていたために、なかなか理解されずにきています。しかし、今確実に広がってきているようです。実際に日本の自然災害や世界の戦場の現場で大活躍している様子を、森川先生が報告してくれました。TFTの専門家は、国連の活動にも積極的にかかわっているそうです。

 臨床心理士や公認心理師にとって、トラウマケアといえばEMDRですが、私はTFTの方が面白いと思って、まずこちらから学ぶことにしました。既に中国武術をやっており、当然経絡やツボについては人並み以上に詳しかったので、「これはいけるんじゃないか」という直観が働いたからでもありました。気功やツボの指圧には心理的な効果もあるはずだと、習っていると感じる人は多いのですが、それを実際の心理療法にもっていくにはなかなか難しいところがありました。

 それをTFTは、キャラハンという心理学者によって斬新なアプローチで実現させたのです。

 私はずいぶん前、TFTが日本に紹介され出した辺りだから10年か15年以上前か、覚えていないくらい前に森川先生から習ったのでした。まだ今みたいな組織化もされていなかったのか、当時は先生のご自宅で、5,6人だけの小さなワークショップでした。

 習ってみたら「これは面白い!」と感銘しました。児童相談所、精神病院、スクールカウンセリング、開業など自分の臨床の場は変わっていきましたが、どこでもどんどん使ってみました。うまくいくこともいかないこともありましたが、その切れ味のよさに驚くことも少なくありませんでした。

 もっと学びたかったのですが、私は限られた時間的、金銭的リソースを、アドラー心理学やブリーフセラピーの学びに投入していったので、TFTの上級コースに進むことはありませんでした。進んでいたら、また違った立場になっていたかもしれません。

 結局EMDRは今も学んでいません。習うにはお金がさらにかかるし、なんか今そのセミナーの予約を取るのも大変みたいなので、自分は取らないで、必要なクライアントさんが出たら、県内で既に資格を持っている先生にオファーするつもりです。

 出た当初は際物扱いだったTFTは今や研究が進み、アメリカ政府のエビデンスの認証機関SAMHSAに、次のものに効果ありと登録されているそうです。

「個人のレジリエンス、自己概念、トラウマ関連の障害と症状、抑うつとうつ症状、恐怖症、パニック、全般性不安障害とその他の症状など」です。

 ただ森川先生もおっしゃってましたが、TFTは「心のとげ抜き」と呼ばれるように、マイナスをニュートラルに持っていくことはできても、プラスを増やすことはできないのです。不登校の子が学校への不安を解消できても、不登校自体が治るとは限らないのです。やはり症状には目的や機能があるからです。

 自信やパフォーマンスを上げるための方法もTFTにはあるようですが、やはりそこはアドラー心理学やブリーフセラピーのようなものが適切だろうと思います。だからアドレリアンには使える技法なのです。

 とにかく、県内の主な精神科病院や公的機関の職員が集まる同研究会でTFTが紹介され、精神科医、看護師、作業療法士、心理士など多職種の皆が一斉にトントンと自分のツボを叩いて実習する姿は感慨深いものでした。

 武術・武道家で心理療法やカウンセリングに関心のある人は、TFTは是非身につけてほしい技法です。根性論とは無縁の世界ですよ。

 日本TFT協会

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