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September 25, 2019

『身体はトラウマを記録する』

 トラウマケアの世界的権威の本、各方面で絶賛されているベッセル・ヴァン・デア・コーク著『身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法』(紀伊国屋書店)は、いわゆるトラウマの諸症状とその悪影響、脳科学的知見、そして効果的なセラピーの方針と方法まで網羅されています。分厚いですが、カウンセラーは是非読んでみるといいと思います。

 その中で私が注目したのは、トラウマケアに通常の心理療法や環境療法だけでなく、身体にアプローチすることを強調していることです。

 深刻なトラウマ治療のために著者は、マインドフルネス瞑想はもちろん、ヨガや気功、太極拳、日本の武道や護身術などもどんどん取り入れています。演劇もあります。

 私が以前から感じていた、「太極拳や気功はトラウマの治療に良いんじゃね?」という思いを見事に裏打ちしてくれていて、うれしかったですね。これまでは、権威もなく研究者でもない私が言い始めれば、「また深沢が変なことをやっている」と指弾されかねませんでしたが、これからは堂々と論陣を張れますね。

 というか、私がやらなくても、真似っこ好きな日本の学者や臨床家は、これからは本書で紹介している新旧の身体的アプローチどんどん取り入れていくことでしょう。それでエビデンスらしきものがたまってくれば、余計に田舎セラピストの私も使いやすいので、それはそれでありがたいです。

 関連個所を引用、メモします。みんな、気功や太極拳をやろうぜ。

(貼り付け始め)

 私たちはまた、呼吸法(プラーナヤーマ)や詠唱(チャント)から、気功のような鍛錬法や武道、ドラム演奏や合唱、ダンスまで、西洋医学の外で長年行われてきた、他の古い、日薬理学的な取り組みの価値も、受け容れやすくなった。これらの取り組みはみな、人と人の間のリズムや、内臓感覚の自覚、声や表情による意思疎通に依存している。それらは、人が闘争/逃走状態をを脱し、危険の近くを立て直し、人間関係を管理する能力を増進するのを助ける。  p143-144

 これまで多くの患者が、合唱や合気道、タンゴのダンス、キックボクシングにどれだけ助けられたかを語ってくれた。  p350

ヨーガグループの参加者は、PTSDにおける覚醒の問題が有意に改善され、自分の体との関係が劇的によくなった(「今は自分の体をいたわっている」「自分の体が必要としているものに耳を傾けている」)  p445

 ヨーガを20週間実習すると、基本的な自己システムである島と内側前頭前皮質の活動が増すことを、初めて示す結果が出た。  p452

 通常、人は前頭前皮質の実行能力のおかげで、何が起こっているかを観察し、ある行動をとれば何が起こるかを予想し、意識的な選択ができる。思考や感情や情動を冷静かつ客観的に観察し(この能力のことを、私は本書を通じて「マインドフルネス」と呼ぶ)、それからじっくり反応できれば、実行脳は、情動脳にあらかじめプログラムされていて行動様式を固定する自動的な反応を、抑制したり、まとめたり、調節したりすることが可能になる。 p105

マインドフルネスを実践すると、交感神経系が落ち着くので、闘争/逃走反応を起こしにくくなる。  p341

 マインドフルネスを練習すると、脳の煙探知機である扁桃体の活性化が抑えられ、トリガーになりそうなものに対して反応しにくくなりさえすることが立証された。  p348

(貼り付け終わり)

 

 

 

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