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October 07, 2019

『二月の男』

 前記事でご案内した演武会に昨日行ってきました。

 台湾の老師や日本の本部の指導員たちの八卦掌や形意拳の数多くの型、太極拳を見て、改めてうちの流派は中国文化の粋であり、深い伝統に裏打ちされていることを実感しました。みなさん、素晴らしい動きでした。

 他の武術・武道団体から、うちは保守的で閉鎖的と見られることが多いみたいですが、そうなるのも無理ないかもしれません。それだけ中身が豊富で濃いので、「時代に合わせて」なんて、容易に変えるわけにはいかないのだろうと思いました。保存し、伝えること、それはそれで大変大切なことなのだろう、継承者である老師たちの苦労は大変なものだろうと思いました。

 さて、武術にも深い意味で関連のある催眠について、私は週末に集中的に学ぶ機会を得ています。来週にその報告したいと思いますが、催眠といえばミルトン・エリクソン、彼の実際の事例を詳細に記録したのが、

 ミルトン・H・エリクソン、アーネスト・ローレンス・ロッシ著、横井勝美訳『ミルトン・エリクソンの二月の男 彼女は、なぜ水を怖がるようになったのか』(金剛出版)

 エリクソンが最も働き盛りの1945年の頃の事例の記録を、晩年の1979年にエリクソンと弟子たちが振り返るという面白い構成になっています。「江夏の24球」みたいな感じですね。

「二月の男」とは、クライエントである19歳の女性が、自らのトラウマ体験に直面するためにトランスに入った時に登場するエリクソンの「名前」です。深いトランス状態に入ったクライアントの心の中に、エリクソンではなく、「私は二月の男ですよ」(その場面が2月だったから)と称して登場するのです。

 そんなことできるんだあ、と驚きです。

 一読して、エリクソニアンでも専門の催眠療法家でもない私には正直、わかりにくいところもありましたが、実際の会話の様子がたくさん出ているので、一人ロールプレイみたいに朗読して、その場の感じや催眠の語り方を感じ取ろうと努めました。

 本書でエリクソンは、クライアントを全体として見ることを言っていたり、クライアントが困難を克服するために盛んに勇気づけていたり、「エリクソンってアドラーっぽいな」と以前から感じていたことを再確認しました。その方法として、意識的なコントロールが弱まる催眠を利用しているところが、エリクソン独自のところなのでしょう。

 臨床がうまくなりたい人は、読んでみて損はないと思います。

 

 

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