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December 20, 2019

『幸せのメカニズム』

 フロイトの精神分析学は「人はいかにして病気になるか?」を問い、研究する学問といえるでしょう。精神分析志向のセラピストは口を開けば、「病理、病理」と口にします。

 それに対してアドラー心理学は「人はいかにして幸福になるか?」を問う学問といえます。アドレリアンは「勇気、勇気」「協力、協力」などと口を酸っぱく主張します。

 どっちが、ということではなく、究極的にはこれは好みの問題としかいえないでしょう。臨床現場的には、両方が大事ということになるのでしょうけど、やはりどちらかに傾く傾向はありそうです。アドラー寄りは、やはりブリーフサイコセラピーでしょうね。

 ちなみに行動主義は「人はいかに動物か?」「人はどのくらい機械か?」と追及しているといえるでしょう。最近は認知行動療法なんていって、「人間の顔」をしていますが😃

 アドラー派としては、その人が幸福になるプロセスや条件をできるだけ追求し、明確にすることが大切です。

 前野隆司著『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』(講談社現代新書)

 では、実証的な研究から抽出された幸福の因子を知ることができます。見るとほとんどが昔からのアドラー心理学の見解と同じなので、アドレリアンも自分の主張の傍証として本書を使うことができるでしょう。ここでその4つの因子だけを挙げておくと、

「やってみよう!」因子:自己実現と成長の因子。私は有能であり、社会の要請に応えられており、成長することができていて、自分の目標を実現できている。

「ありがとう!」因子:つながりと感謝の因子。人の喜ぶ顔が見たい、私を大切に思ってくれる人たちがいる、感謝することがたくさんある、人には親切に手助けしたいと思っている。

「なんとかなる!」因子:前向きと楽観の因子。私は物事が思い通りにいくと思う、失敗や不安をあまり引きづらない、他者との親しい関係を維持できる、自分は人生で多くのことを達成してきた。

「あなたらしく!」因子:独立とマイペースの因子。私は人と比較しない、私ができることできないことは外部の制約のせいではない、自分の信念はあまり変化しない、最大限の効果を追求する。

 研究の詳細や解説は本書をあたっていただきたいのですが、すごくいい線いっていると思いました。

 もちろん著者は、これらの4つの因子がすべてそろわないと幸せになれない、と言っているわけではないと注意を促しています。それこそ「不完全である勇気」が必要です。

 アドラー心理学の理論と照合できますし、メンタルヘルス系の研修や心理教育で使うことができると思います。

 

 

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