« ステイホームで集中稽古 | Main | 『アドラーに救われた女性たち』 »

May 19, 2020

『みんなの当事者研究』

 ステイホームで時間があるので、積読状態だった本を引っ張り出して読んでいます。

 熊谷晋一郎編『みんなの当事者研究 臨床心理学増刊第9号』(金剛出版)

 2017年に出た、当事者研究に携わる人たちの対談、報告集ですがとても面白いです。

 アドラー心理学の観点からも首肯できる発言や、思わずコメントしたい内容がたくさんあります。

 もちろん彼ら論者、実践家たちはアドラー心理学について全く知らないので、それについて何の言及もないのですが、そこかしこに共通性がうかがえます。

 特に、「中動態」で知られる思想家の国分功一郎氏と東大の当事者兼研究者の熊谷晋一郎氏の対談には、「意志と選択」「原因探しの問題」「仲間」など、アドラー心理学の「主体論」や「共同体感覚」に近いワードが続々と出てきます。

 目を引いたのは、あの「浦河べてるの家」を起ち上げたことで知られる、向谷地生良氏の「当事者研究とソーシャルワーク」という論考。氏は、ベてるの家の実践の意義をどのように説明するかを探求しているうちに、ゴールドシュタインという人の「認知ヒューマニスティックアプローチ」にその解を見出したそうです。

 その認知ヒューマニスティックアプローチは、「自己、システム、人間関係などに関して、人がどのように思考し、意味づけ、認知しているかの深い認識こそが、実践に対して信頼しうる理論的基盤を提供する」という考え方であり、クライエントとワーカーとの「対話」を重視するそうです。

 そこでは、認知ヒューマニスティックアプローチの説明が表になって表されているのですが、どこかで散々聞いた話ばかりです。

 さもありなん。向谷地氏によると、ゴールドシュタインはこの認知ヒューマニスティックアプローチをまとめ上げるにおいて、「ベック(Beck A)が提唱する認知療法や認知/実存的な立場をとるフランクル(Frankl V)の研究を参考にしていた」そうで、二人ともアドラー心理学に直接間接に強い影響を受けていた人たちです。アドラーの子孫みたいな人たちです。

 ここでも、アドラー心理学の普遍性が確認できたような内容でした。

 そう思うのは私だけかもしれないけど。

 

 

 

|

« ステイホームで集中稽古 | Main | 『アドラーに救われた女性たち』 »